臨床教育研修センター

昭和45年の開学以来、川崎医科大学は先進的な医学教育を行ってきた。当時から欧米に視察団を派遣して教育システムについて研究し、その成果として、視聴覚室の整備、大型テレビによる実習や講義など、当時の先進国のレベルをリードしてきた。

川崎医科大学の教育施設について、学長補佐 森谷 卓也 教授にお話を伺った。

――川崎医科大学の教育施設、設備等について教えていただけますか。
臨床教育研修センター
臨床教育研修センター
森谷:

それでは、実際にご案内しましょう。まず、臨床教育研修センターです。これは、実物の病棟を丸ごと使った教育センターで、附属病院内に設置しています。スタッフステーション、一般病室、ICU、個室(HCU)、感染症患者を治療する陰陽圧室、介助シャワー・沐浴室、画像・IT・e-learning演習室、救急・蘇生演習室、検査・機器演習室・カンファレンスルーム・セミナールームなど、12の部屋からなっています。

大規模災害などの緊急時には、実際に病棟として使うこともできますから、置いてある機器はすべて本物ですよ。

――すごいですね。学生は、ここで臨床技術を学ぶのですか。
森谷:

そうです。OSCE(4年次に行う実技試験)に向けて実技の授業を行ったりします。ただ、利用するのは学生だけではありません。医師、看護師を含めた、あらゆる医療技術者が、治療や検査のスキルを学べるシステムになっています。

さらに、医師向けとして救急蘇生コースなどの研修プログラムも用意していますし、看護師向けには、出産などでいったん離職した後、復職する前にスキルを再習得できるよう、復職支援プログラムなどを用意しています。

様々なシュミュレーションができる模型の患者や、腕の形をした採血模型などを使って練習することができます。模型の数も多くて、採血模型がこれだけあるところも珍しいと思いますよ。

詳しくは、http://www.kawasaki-m.ac.jp/kcet/skils/ に記載されています。

――かなりの頻度で利用されているのですか。
森谷:

今日もちょうど、看護師セミナーがあるようで、奥の多目的演習室でやっています。だいたい、年間凡そ2万人の利用者があります。

患者の模型を使った病院対抗コンテストを行うこともあり、病院ごとにチームを編成して治療成績を競うこともあります。もちろん、川崎医科大学附属病院もチームを編成して参加します。

――面白い施設ですね。
森谷:

そうですね、ほかの大学ではあまり行っていない試みだと思います。

――ところで、開学当初から、教育に非常に力を入れておられるということですが。
教材教具センター
教材教具センター
森谷:

そうですね、かなり力を入れています。カリキュラムの全体もそうですが、授業ひとつひとつのクオリティも大切にしています。例えば、われわれが授業で用いる映像や画像などの教材を作る専門部署として教材教具センターがあります。

このセンターに原稿と画像などの素材を渡すと、映像や、画像などの入った教材を作ってもらえます。専門家が作成するだけあって、非常に高いクオリティの教材ができます。

――学生は普段は自修室などで勉強しているのでしょうか。
自修室
自修室
森谷:

我々は、習う、ではなくて修めるという字を用いて、自修室と呼んでいます。自修室は学年ごとに分けられていて、一人ひとりブースが割り当てられています。そのため、教科書や荷物などを置いていてもいいのですが、一般の図書館のように私語はしにくい環境ですので、自学自習に向いています。

グループで話し合いながら勉強したい人は、学生ラウンジが21時30分まで使えますので、そちらを使っています。

――ビデオ学習などは
学生教職員ラウンジ
学生教職員ラウンジ
森谷:

学年によってはCBTや国試対策のビデオを用意していて、いつでも見ることができます。ただ、普段の授業をビデオに収録して復習させる学習方法については、現状検討中です。

――食事などは
森谷:

ラウンジで食べている人が多いようです。売店は高島屋が入っていますから、そこでお弁当などを買うこともできます。大学を出て、少し歩くと24時間営業のスーパーがありますから、そこで買い物をすることもできますね。

森谷 卓也

川崎医科大学 学長補佐
森谷 卓也 教授

日本病理学会 病理専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
川崎医科大学 病理学2教授、同窓会長

[経歴]
川崎医科大学卒業、川崎医科大学病理、米国ジョージワシントン大学病理での修行ののち、川崎病院、東北大学病院病理部 副部長、東北大学医学部 准教授を経て現職