田尻友久

推薦入試は出願資格として評定平均値や卒業年度の制限があることから、一般入学試験よりも倍率が低く、また、学力以外に人物評価や小論文などが重視されることから、現役生にとって医学部に入る大きなチャンスです。

しかし、その一方で、入試問題や配点が公表されない大学が多く、また、問題の傾向が各大学で相当異なっているため、対策が取りにくいという問題があります。

学力検査の問題が、高校の教科の枠を超えた範囲から出題されたり、小論文・面接試験が独特で、大学ごとの対策が必要であったりと、一般入学試験にはない難しさがあります。

東京医科大学医学部医学科の推薦入学試験について、メルリックス学院 学院長 田尻 友久先生にお話を伺いました。

――東京医科大学は東京の私立大学医学部の中でも「偏差値がやや高い」部類に属しており、また、立地もいいことから多くの受験者を集めているようです。東京医科大学の推薦入試の概要について教えてください。

田尻:東京医科大学は医学部の中でも人気のある大学で、東京都内の医学部では数少ない公募制の推薦入試を実施している大学の一つです。

平成29年度の東京医科大学推薦入試は一般公募推薦(評定4.0以上、現役生のみ)茨城県地域枠(評定4.0以上、一浪生まで、茨城県の高校出身者または保護者が茨城県在住の者)山梨県地域枠(評定4.0以上、一浪生まで、山梨県の高校出身者または保護者が山梨県在住の者)の3種類があり、すべて平成28年12月3日に実施されます。

募集人員も一般枠20名以内、茨城県地域枠8名以内、山梨県地域枠2名以内と多く、特に東日本の受験生にとってはチャレンジしたい入試の一つでしょう。

――東京医科大学の推薦入試の募集要項を見ると、調査書、志望動機書、推薦書についての記載があります。これらは医学部入試では重視されがちなようですが、東京医科大学の推薦入試でも注意するべきでしょうか。

田尻:そうですね。それらは東京医科大学推薦入試に合格するための第一のポイントです。まず、出願書類のうちの「志望の動機」をきちんと仕上げることです。これは、800字で志望の動機を書くものですが、大学から「800字程度で本学志望の動機、本学入学後の抱負を自筆して下さい」と指定されています。

東京医科大学推薦入試の出願書類の添削をすると、この「志望の動機」に長々と医学部志望理由を書いてくる受験生が多くいます。大学が求めているのは「本学志望の動機」=「東京医科大学志望理由」です。「数ある医学部の中で東京医科大学がなぜいいのかを書きなさい」と言われているのに、医学部を目指す理由を一生懸命書く人がいます。

そのまま出願すると、それを読んだ試験官がガッカリするのは想像に難くありません。東京医科大学が「志望の動機」に求めていることをきちんと理解して、書き上げて下さい。

――ありがとうございます。では、試験についてはどうでしょうか。適性検査も行われるようです。

田尻:東京医科大学推薦入試では小論文、適性検査、基礎学力検査、面接が行われますが、それぞれの詳しい内容については公表されていませんので受験者の報告に頼るしかありません。

東京医科大学の適性検査はYG性格検査とバウムテストで、これは心配する必要はありませんし、変な予備知識は無い方がいいと思います。

残る小論文、基礎学力検査、面接のうち最も差が付くのは小論文です。私たちメルリックス学院では東京医科大学推薦入試の予想問題を作成し本番同様のプレテストを行いますが、出来不出来の差が非常に大きいのが小論文です。

――小論文と言えば、募集要項にも、日本語課題文と英語課題文とありますね。

田尻:そうです。小論文は日本語の課題文が与えられるものと英語の課題文が与えられるもののそれぞれ1題ずつ、合計2題が出題されます。

課題文が日本語のものの出題者は、フランス文学をご専門とされる先生で難解な文章がお好きなようでしたので、これまで出題された課題文の中には私が読んでも何を言っているのかよく分からないカフカの『審判』やサルトルの『嘔吐』からの出題があったこともありましたし、内田義彦などの日本人の著者の場合も難解な文章が出題されていました。

この先生は退官されましたが、次の日本語小論文の先生も詳しくは言えませんが日頃、難解な文章を扱っている先生ですので、受験生にとってとても読みにくい文章が今後も課題文として出されると思われます。

現役生の皆さんは、ただでさえ小論文を書いた経験が少ない上に難解な課題文となれば、手が出ない受験生も少なくないようです。単に小論文の準備ではなく、東京医科大学推薦入試の日本語小論文の準備が必要です。

東京医科大学推薦入試ではもう1題、英語課題文の小論文が出題されます。この英語小論文は、準備した人とそうでない人の差は特に大きくなるでしょう。

課題文として出される英語そのものは、それほど読みにくい英語ではありませんが、小問1では英文の300字要約を求められます。与えられた英文を日本語で300字に要約するのですが、これをやったことのある受験生はいないでしょう。

まずは「要約、どうやればいいの?」から学ぶ必要があります。

多少、分からない単語があったとしてもコツさえつかめば要約はできます。しかし、「要約とはどういうものか。どうすればいいのか」が分からなければ採点者を満足させる要約を書くことは出来ないでしょう。

私たちの東京医科大学推薦入試プレテストの結果を見ても、日本語小論文も英語小論文もみなさん苦労されていることが分かります。

――ありがとうございます。ところでそのプレテストは外部生でも受験可能でしょうか。(回答をお願いします。)

田尻:残念ながら、メルリックス学院の「東京医科大学推薦入試対策講座」は終了しておりますが、希望される方はぜひお問い合わせいただければ、何らかのお役に立てるのではないかと思います。