近年の医学部入試の大きな特徴は、地域枠が設けられる用になったことです。医師が多い自治体、少ない自治体があり、その地域間格差を解消するために設けられました。その地域で医師を務めることを条件にし、9年間、定められた地域で医療に従事することになります。医学部の入学定員は文科省によると、2008年には7,793人だったのが、2016年には9,262人にまで増えています。1,469人、18.9%の増加です。ところが、表の地域枠合計は64大学で1,553人ですから、この定員増加分が地域枠と言ってもいいぐらいです。

医学部志望者は、少子化による受験生数減と文系学部人気の高まりもあって、増えてはいるものの激増しているわけではありません。予備校の入試担当者によると「志望者が減ったところでもともと医学部に合格できる力のある受験生は減っておらず、入試は高止まりで入りやすくはなっていない」と言います。相変わらず難関であることは変わらず、国公立大医学部ならセンター試験の得点率は85%以上が必要だと見られます。私立大医学部も学費の値下げなどがあって、難化しています。

その中で、この地域枠入試は、一般入試より入りやすいようです。各県の二番手校で医学部合格者を増やしたところが多いのですが、地域枠を活用して合格者が増えたようです。

表は各大学の地域枠の募集です。札幌医科大は定員の110人に対して地域枠の定員は90人で、定員の9割近くが地域枠です。定員に占める地域枠の割合が5割以上の大学は、札幌医科大の他に弘前大と高知大です。それだけ医師不足が深刻ということでしょう。私立大では各都道府県の出資で設立された自治医科大は地域枠の大学といえます。

では、どのような試験が行われているのでしょう。札幌医科大の推薦入試の地域枠と特別枠の試験は、北海道の高校や中等教育学校出身者に限られます。一方、一般入試の北海道医療枠は、一般枠と同じ入試を受けます。ただ、北海道医療枠では、出願時に大学が指定する医療機関での初期臨床研修の終了後、7年間道内の医療機関で医学・医療に従事することになっています。つまり、一般入試では、どこの地域の受験生でも、この地域枠を受けることができるのです。

私立も見てみましょう。獨協医科大の公募制推薦入試(地域特別枠)では、北関東(栃木、群馬、茨城)、埼玉、福島の高校と中等教育学校出身者を対象に、これらの県での医療に携わることが条件になっています。AO(栃木県地域枠)では、卒業までに栃木県医師修学資金の貸与を受け、貸与を受けた期間の1.5倍の期間を栃木県職員として県内で医療に従事するのが条件で、出身地域は関係ありません。これを果たすと修学資金の返還が免除されます。一般入試の栃木県地域枠でも同じです。

また、別の地域枠の入試もあります。昭和大の地域別選抜は12名募集で、北海道・東北・北関東、南関東、東京、中部、北陸・近畿・中国、四国・九州・沖縄の各地域2名ずつの募集です。入学者の7割が関東地方ということから、全国から学生を集めるための方式です。入試はセンター試験の成績と小論文・面接です。

地域枠というと、地元の受験生しか活用できないのでは、と思いがちですが、大学によってさまざまです。条件はありますが、こういった制度の活用も考えてみてはどうでしょうか。

4月 医学部医学科地域枠入試

大学 所在地 方式 入学定員合計 地域枠募集人員
国公立大
旭川医科大 北海道 AO(北海道特別選抜) 112 40
推薦(道北・道東特別) 10
札幌医科大 北海道 推薦(地域枠) 110 20
推薦(特別枠) 15
前期(北海道医療枠) 55
弘前大 青森 AOⅡ 112 50
前期(定着枠) 12
東北大 宮城 前期 135 30
秋田大 秋田 推薦Ⅱ(秋田県地域枠) 124 19
推薦Ⅱ(全国地域枠) 5
山形大 山形 前期(地域枠) 125 8
福島県立医科大 福島 推薦B枠(県内) 130 8
推薦B枠(県外) 7
前期(地域枠) 25
筑波大 茨城 推薦(地域枠推薦) 135 22
前期 14
群馬大 群馬 推薦(地域医療枠) 108 7
前期(地域医療枠) 9
東京医科歯科大 東京 地域特別枠推薦入試 101 4
横浜市立大 神奈川 特別推薦(地域医療枠) 90 5
前期(地域枠) 20
前期(神奈川県指定医療科枠) 5
新潟大 新潟 推薦(地域枠) 122 17
富山大 富山 推薦(地域枠) 105 15
推薦(特別枠) 10
金沢大 石川 推薦Ⅱ(特別枠) 112 12
福井大 福井 推薦Ⅱ(地域枠) 110 5
推薦Ⅱ(福井健康推進枠) 10
山梨大 山梨 推薦(地域枠) 125 35
信州大 長野 推薦Ⅱ 120 20
岐阜大 岐阜 推薦Ⅱ(地域枠) 110 28
名古屋大 愛知 後期 107 5
名古屋市立大 愛知 推薦B 97 20
地域枠推薦 7
三重大 三重 推薦(地域枠) 125 30
前期 5
滋賀医科大 滋賀 推薦(滋賀県枠) 100 13
京都府立医科大 京都 推薦(医学科特別選抜) 107 7
大阪市立大 大阪 前期(地域医療枠) 95 10
前期(大阪府指定医療枠) 5
神戸大 兵庫 地域特別枠 112 10
奈良県立医科大 奈良 推薦(緊急医師確保枠) 113 13
推薦(地域枠) 25
和歌山県立医科大 和歌山 推薦(一般枠) 100 6
推薦(県民医療枠) 5
推薦(地域医療枠) 10
前期(県民医療枠) 15
鳥取大 鳥取 推薦Ⅱ(地域枠) 105 5
推薦Ⅱ(特別養成枠) 5
前期 22
島根大 島根 推薦Ⅱ(地域枠) 102 10
推薦Ⅱ(緊急医師確保対策) 5
前期(県内定着枠) 7
岡山大 岡山 推薦Ⅱ(岡山) 115 7
推薦Ⅱ(鳥取) 1
推薦Ⅱ(広島) 2
推薦Ⅱ(兵庫) 2
広島大 広島 推薦(ふるさと枠・広島) 120 18
推薦(ふるさと枠・岡山) 2
山口大 山口 推薦(地域枠) 107 15
推薦(緊急医師確保対策枠) 5
推薦(地域医療再生枠・山口) 9
推薦(地域医療再生枠・鳥取) 1
徳島大 徳島 推薦Ⅱ(地域枠) 114 5
推薦Ⅱ(地域特別枠) 12
香川大 香川 推薦(地域枠) 109 10
推薦(県民医療推進枠) 5
前期(地域医療推進枠) 9
愛媛大 愛媛 推薦ⅡB(地域特別枠) 110 20
高知大 高知 AOⅠ 110 30
推薦Ⅱ(四国・瀬戸内地域枠) 15
前期(地域枠) 10
佐賀大 佐賀 推薦Ⅱ(佐賀県枠) 106 23
推薦Ⅱ(長崎県枠) 1
佐賀県推薦 2
長崎大 長崎 推薦ⅡA(地域医療枠) 118 15
推薦ⅡB(地域医療特別枠) 8
推薦ⅡC(佐賀県枠) 2
推薦ⅡC(宮崎県枠) 2
推薦ⅡD(一般研究医枠) 5
推薦ⅡE(熱帯医学研究医枠) 5
推薦ⅡF(国際保健医療枠) 5
熊本大 熊本 推薦Ⅱ(地域枠) 115 5
宮崎大 宮崎 推薦(地域枠) 110 10
推薦(地域特別枠) 10
鹿児島大 鹿児島 推薦Ⅱ 107 17
琉球大 沖縄 推薦Ⅱ(地域枠) 112 14
推薦Ⅱ(離島・北部枠) 3
私立大
岩手医科大 岩手 地域枠特別推薦 130 15
自治医科大 栃木 一般 123 123
獨協医科大 栃木 推薦(地域特別枠) 120 10
AO(栃木県地域枠) 3
一般(栃木県地域枠) 7
埼玉医科大
※募集人員は方式の合計
埼玉 推薦(地域枠・研究医) 128 ※10
前期(地域枠・研究医) ※62
後期(地域枠・研究医) ※45
北里大 東京 一般(山梨県地域枠) 119 2
一般(茨城県地域枠) 2
一般(相模原市修学資金枠) 1
杏林大 東京 一般(東京都地域枠) 117 10
一般(茨城県地域枠) 2
順天堂大 東京 一般(東京都地域枠) 137 10
一般(新潟県地域枠) 2
昭和大 東京 地域別選抜 120 12
帝京大 東京 推薦(福島県特別地域枠) 120 2
東海大 東京 神奈川県地域枠 118 5
静岡県地域枠 3
東京医科大 東京 推薦(茨城県地域枠特別) 120 8
推薦(山梨県地域枠特別) 2
東京慈恵会医科大 東京 一般(東京都地域枠) 110 5
金沢医科大 石川 指定校・指定地域推薦 110 5
愛知医科大 愛知 愛知県地域特別枠 115 10
藤田保健衛生大 愛知 一般(愛知県地域枠) 120 10
大阪医科大 大阪 研究医枠 112 2
一般(大阪府地域枠) 2
関西医科大 大阪 一般(大阪府地域枠) 117 5
近畿大 大阪 推薦(一般公募) 115 20
兵庫医科大 兵庫 推薦(地域指定制) 112 5
川崎医科大 岡山 特別推薦(中国・四国地域枠) 126 15
特別推薦(岡山県地域枠) 5
一般(静岡県地域枠) 10
一般(長崎県地域枠) 6
久留米大 福岡 地域枠推薦 115 15
一般(福岡県特別枠) 5
福岡大 福岡 推薦(地域枠) 110 10