文部科学省によると、来年の医学部の定員は2008年から10年連続で増加となります(グラフ1参照)。来年は千葉の成田市に国際医療福祉大医学部(定員140人)が新設されることもあって、定員が9,420人に増え、2016年より158人の増加となります。定員増加が始まる前年の2007年と比べて、1,795人、23.5%も増えています。

医師過剰時代が到来するなどと言われていますが、地方を中心に現在でも医師不足は解消されていません。各大学とも地域枠などを積極的に設けて、地方で活躍する医師養成に力を入れています。そのため、入学定員が増え続けているのです。

このように定員は増える一方ですが、志願者のほうは減少傾向にあります。グラフ2を見てください。これはすべての入試方式の合計の志願者数推移のグラフです。

今年の医学部入試では、国公立大(防衛医科大除く)が前年比2,082人、6.1%減の3万1779人。私立大は3,230人、3%減の10万4015人となりました。国公立大、私立大ともに2年連続の志願者減です。全医学部合計では、志願者は13万5794人で、14万人台を割りこみました。定員が増えているのに志願者減で、医学部は狙い目の状況になっています。

この減少は2015年から就職状況が改善され、文系人気が高まったことが大きな理由と見られます。近年の学部別志望動向は“文高理低”に変わりました。グラフ3を見てください。これは全国の進学校の進路指導教諭711人が予測する、2017年入試で人気になりそうな学部・学科です。

これを見ますと、文系人気が高いことから国際系学部が来年人気になると予測されています。経済、経営系学部なども上位に来ています。ところが、そうはいっても理系学部も人気を集めているところがあります。看護学部は5割を超える人気で、医療系人気が高いことが分かります。医学部も8位で、18.8%の進路指導教諭が来年人気になると見ています。これは進学校への調査結果ということもあり、難関学部人気が高いと見られます。

地方の進学校の進路指導教諭は「文系人気が上がって、理系人気が下がっているようによく言われますが、地方では優秀な理系の生徒は、やはり医学部を目指します。生徒は地元の大学、地元での就職を目指す傾向が強いのですが、優秀な理系の生徒の受け皿となる就職先が地元にあまりないこともあって、医学部に進学して地元で医師になって勤めることを考える生徒が多く、これが医学部人気に拍車をかけています。医学部の志願者が減っているとしても、優秀な層の医学部志望の高さは2017年入試でも変わっておらず、人気は高値安定になるのでは」と話します。

来年、大学に入学する受験生が4年で卒業したとすると、2021年卒業になります。2020年の東京オリンピックは終わっており、その時には景気が減速するとの予測も出ています。そういった時に就職に強いのが理系です。なかでも医療系人気が高くなり、優秀な受験生には医学部人気が高まります。

来年入試でも文系人気が続きますが、将来のことを考え、理系人気が回復する可能性もあると見られます。こういったことを考えると、来年入試でも医学部人気は高いと予測されます。志願者は減っても、優秀な受験生同士の厳しい戦いになりそうです。

表1 医学部入学定員推移グラフ

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017(予定)
国公立定員 4893 5315 5605 5660 5691 5726 5744 5768 5778 5780
私立定員 2900 3171 3241 3263 3300 3315 3325 3366 3484 3640
7793 8486 8846 8923 8991 9041 9069 9134 9262 9420


161226_1

(文部科学省調べ)

表2 医学部志願者数推移グラフ

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
国立 29021 28557 29168 31549 33048 30661 30,687 29124 27277
公立 3999 3776 3724 4193 4995 5456 5650 4737 4502
国公立 33020 32333 32892 35742 38043 36117 36337 33861 31779
私立 72182 73244 77069 79657 82366 94055 106808 107245 104015
国公私立 105,202 105,577 109,961 115,399 120,409 130,172 143,145 141,106 135,794


161226_2

(文部科学省調べ)

表3 来年入試で人気になりそうな学部・学科系統(複数回答可)


161226_3

(大学通信調べ)