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Vol.1 私立大学医学部の志願者数・入試倍率の変化

少子化の中でも大学進学者数は増加。特に医療系学部が人気

我が国の少子化は急速に進んでおり、1992年に205万人だった18歳人口は、2012年には119万人まで減少しました。2040年には103万人と1992年の半分になる見通しで、相当深刻な状況です。

しかし、少子化の一方で大学進学率は年々上昇を続けており、大学進学者数は増加しているのです。1992年には大学進学率は26%、大学進学者数は54万人でしたが、2011年にはこれが50%・67万人となりました。

このため、大学全入時代と言われながら、人気の高い大学や学部ではかえって競争が激化するという現象が起こっています。その代表が医学部をはじめとする医療系学部で、医学・看護・薬学・歯学などの学部あるいは学科の受験者数は年々増加し続けています。

私立大学医学部志願者数が増加

医療系学部が人気になる中、私立大学医学部の人気も年々高まってきています。2007年度入学試験で69,421人だった受験者数は、2013年度入学試験では93,739名(一部非公表の大学を除く)となりました。特に、2012年から2013年にかけては82,344名から93,739名まで、10,000人以上増加しました。

私立大学医学部総志願者数の推移
年度 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
総志願者数 69,421人 72,056人 73,229人 76,850人 79,657人 82,344人 93,739人

私立大学医学部志願者数の増加の理由

 このような私立大学医学部人気の理由としては、次の(1)~(4)が考えられます。

(1) 先行き不透明な経済事情と、職業として安定する医師という選択肢

リーマンショック・東北大震災・中国の台頭など、日本を取り囲む状況は近年ますます厳しくなり、アベノミクスで一時的に景気が回復しつつあるとはいえ、先行きは不透明です。特に、少子化問題は深刻で、今後若者層の減少につれて消費意欲も減衰し、景気は悪化すると考えられています。

このような中で、身分が国家に保障され、定年がなく、給与平均の高い(勤務医の平均年収(45.6歳)1477万円・大卒サラリーマンの平均年収(45歳)898万円(日本経済新聞社調べ))医師に理系の優秀な生徒からの人気が集まるのは当然です。

(2) 新設医学部を卒業した医師の子弟が受験期を迎えた

1961年に国民皆保険が達成され、病院を訪れる患者数が激増しました。そのため、全国的に医師不足に陥りました。

この対策として1969年に医学部定員が4,040名まで増員されましたが、それでも不足分を補うことはできず、1970年に4校、1972年に3校、1973年に6校の医学部が新設されました。さらに、1973年に田中角栄内閣によって打ち出された一県一医大計画により1979年までに19の医学部が新設され、医学部は全国に国公立私立を合わせて80校となりました。

この結果、医学部定員・医師国家試験合格者数は増加し、1984年には史上初めて医師国家試験合格者数が8,000名を突破、その後、定員数が削減された時期がありましたが、医師国家試験合格者数が7,000名を下回ったことはありません。

さて、1984年に医師になった人は当時24歳、一人前の医師として働き始めて4~5年後に結婚すると、その子供は1990年代前半に生まれることになります。この子供たちが受験期を迎えたのが2000年代後半なのです。第二子・第三子の存在も考慮に入れると、ここ数年の私立大学医学部人気の理由一端が見えてきます。

医師国家試験合格者数
年度 合格者数 年度 合格者数 年度 合格者数 年度 合格者数
1947年 1515人 1963年 3102人 1980年 7087人 1996年 8088人
1948年 1768人 1964年 3127人 1981年 7253人 1997年 7843人
1949年 4677人 1965年 3034人 1982年 7497人 1998年 7806人
1950年 7097人 1966年 3078人 1983年 7914人 1999年 7309人
1951年 7425人 1967年 3048人 1984年 8449人 2000年 7065人
1952年 5248人 1968年 6544人 1985年 7542人 2001年 8374人
1953年 3252人 1969年 3347人 1986年 7951人 2002年 7881人
1954年 3112人 1970年 3741人 1987年 8573人 2003年 7721人
1955年 3481人 1971年 3723人 1988年 7854人 2004年 7457人
1956年 3459人 1972年 3963人 1989年 8829人 2005年 7568人
1957年 2932人 1973年 4146人 1990年 7862人 2006年 7742人
1958年 3043人 1974年 4076人 1991年 8256人 2007年 7535人
1959年 3260人 1975年 4295人 1992年 7988人 2008年 7733人
1960年 3218人 1976年 4643人 1993年 8698人 2009年 7668人
1961年 3231人 1978年 5562人 1994年 7982人 2010年 7538人
1962年 3108人 1979年 6003人 1995年 7930人 2011年 7686人

(3) 受験方式の多様化

センター利用入学試験など、一般入学試験以外の受験方式を実施する大学が増加したことにより、受験者数が増加しています。センター利用入学試験を実施した大学は2005年にわずか2校、志願者数は1742名だったのに対し、2013年度には14校が実施し、志願者数は10,087名まで増加しました。2014年度はさらに福岡大学も新規に実施するため、センター利用入学試験による志願者はさらに増加すると予想されます。

センター試験はどの大学の一次試験とも重複しません。また、国公立大学との併願者にとっては、センター試験から国立大学二次試験までの間に、私立大学の一次試験を受験しに行かなくても済むという利点があります。このことから、私立大学専願の受験生の間にも、国公立大学との併願者との間にも人気が広がりつつある方式です。

しかし、センター利用入学試験が新規に実施されることによる受験者数の増加は、受験者の実数の増加と同じではありません。なぜなら、センター利用入学試験は、センター試験さえ受験すれば、どの大学にも出願することができるためです。そのため、単純に受験生の重複が起こって、見かけの受験者数が増加していると考えることもできます。

センター利用入学試験を受験する学生を観察していると、平均5~6校に出願している人が多いようです。全国的にそうだとすると、2002年度から2014年度にかけての受験者数の実数の増加は5000名程度ということになります。

私立大学医学部・センター利用入学試験実施状況
年度 2005年度(2校) 2013年度(15校)
実施大学 獨協医科大学/近畿大学 埼玉医科大学/杏林大学/獨協医科大学/東京医科大学/東海大学/昭和大学/帝京大学/順天堂大学/近畿大学/愛知医科大学/藤田保健衛生大学/兵庫医科大学/大阪医科大学/関西医科大学
センター利用入学
試験志願者数
1,742人 10,089人

(4) 学費の減額と奨学金制度の充実

へき地や特定診療科の医師不足を解決するため、2007年に文部科学省、厚生労働省、総務省による「緊急医師確保対策」が打ち出されました。これに伴って各自治体が一斉に医学生向けの奨学金制度を設立しました。また、この制度を使って私立医科大学も奨学金付きの地域枠入学試験を行うようになりました。

奨学金の額は月額15~30万円、卒業後、奨学金を貸与した自治体の指定する医療機関で一定期間従事すれば返済を免除されます。この制度が充実したことによって、今まで私立大学医学部を受験することができなかった層も志願するようになったことが、受験生増加の一因となっています。

また、各大学の学費減額も受験生の増加に一役買っています。最近の主な減額は以下の通りです。この中で特に大きな減額を行ったのが順天堂大学で、2008年の減額によって学費が約2000万円となり、この結果、順天堂大学の偏差値が急上昇しました。

もっとも、順天堂大学は偏差値が上昇しすぎたため、皮肉にも受験者数が減少してしまいました。しかし、通常、学費の減額があると受験者数は増加します。

○ 最近の主な学費減額

  • 順天堂大学【2008年約1000万円減額、2012年度10万円減額】2090万円(私立最安値)
  • 昭和大学【2008年約600万円減額、2012年度450万円減額】正規合格:1900万円/その他:2200万円
  • 東邦大学【2012年度600万円減額】2580万円
  • 関西医科大学【2012年度200万円減額】2770万円
  • 帝京大学【2014年度約1170万円減額(予定)】3750万円

○ 奨学金

育英会奨学金

私立大学医学部であれば、第二種奨学金で最高16万円/月まで借り入れが可能です。
詳しくは 独立行政法人日本学生支援機構のサイトをご覧ください

地方自治体・大型病院による奨学金

自治体が奨学金を作り、医学生の学生生活を資金面でサポートする一方で、卒業後その自治体の指定する病院で一定期間医師として勤務するならば、その返還を全て免除するというものです。

大学の独自奨学金

大学独自の奨学金は、成績優秀者に対する特待制度や報奨金、あるいは保護者に深刻な問題が発生した場合の一時金などが多く、いずれも最初から当てにするようなものではありません。
大学奨学金一覧

2013年に志願者数が急増し、ついに入試倍率も上昇へ

私立大学医学部の受験者数は年々増加していますが、倍率はほとんど変化しませんでした。これは毎年のように定員が増加していたためです。

しかし、2013年度は定員の増加がなかったことに加え、志願者数が急増したために倍率も大幅に上昇し、平均倍率が前年度の15.4倍から19.6倍となりました。 2014年度入学試験でも、帝京大学の学費減額、福岡大学のセンター利用入学試験の実施など受験者が増加する要因がありますので、倍率が20倍を超えることが予想されます。

一般・センター試験利用入学試験平均倍率
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
15.3 16.0 16.1 15.9 15.5 NO DATA 14.3 14.6 15.4 19.6
 

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