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岩手医科大学 小論文 過去問解析

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過去三年間の出題内容

2018年 平山郁夫『生かされて、生きる』を読み、「自分の型」について、600字以内で考えを述べる。
2017年 森田真生『数学する身体』を読み、「わかる」ということについて、600字以内で考えを述べる。
2016年 石川九楊『縦に書け、縦に考えよ――縦と横の文化学――』を読み、「縦」と「横」のイメージに関する考えを、600字以内で自由に述べる。

分析

課題文型での出題である。直近3年間の文章の字数は約600字から約1600字までで幅がある。文章のレベルは医学部受験生のレベルを考慮すれば決して難解なものではなく、要旨や論理展開も捉えやすいものであった。2018年は日本画家であり教育者であった平山郁夫の随筆からの出題。「自由に描きなさい」という師の言葉の裏に「より早く多くの失敗を積み重ねなさい」という思いがあったことに気づいた筆者は、失敗により先人から焦点を絞って学ぼうとする姿勢が身につき、自分の型の一部ができると述べている。これを踏まえて自分の考えを述べるというものであった。文章内容を踏まえて自分自身の「型」について論じさせることで、受験生の人間性を見ていることは明らかである。2017年は2015年と同様に「わかる」ということについて自分の考えを述べるものであったが、15年は科学でいう「わかる」と日常で使う「わかる」の違いについて、2017年は他者への共感・他者理解という意味での「わかる」について取り上げた文章であった。また、2016年は書家である著者の縦と横に対する考え方やこだわりに着目して、イメージを広げて論じさせるものであった。2017年の「わかる」という内容については、医療との関係を考えると論じやすいであろう。この文章では、ミラーニューロンが他者の「痛み」をも模倣するということに着目して、幻肢患者に協力してもらって行った実験から、他者の手がされていることを自分の幻肢に感じるという結果を得たということが記されている。この内容から2017年は医療現場において医師が他者の痛みを「わかる」とはどういうことか、どうすればよいかなどといった視点で考えられるかどうかがカギとなっている。

2016年の課題文では、「縦」と「横」のイメージに関する考えについて述べるように指定があるので、文章中の「縦に書け、縦に考えよ」、バリエーションは横画が作るが、縦画は文字を立ち上げており、横画と縦画は役割が違うという内容が書かれている部分に着目できるかがカギとなる。また後半には学生達に「天」という文字を書かせた例などにも着目して、文字が書きつけられた紙は一つの世界をつくっていることと絡めてもよい。一例を挙げるなら、「役割の異なる横画と縦画」から医療、社会、家庭、学校などにおける縦画と横画とは何かといったことをイメージするとよいだろう。 いずれにしても、過去三年間のテーマは、受験生がどのような人物であり、どのように生きてきたかが問われる出題である。岩手医科大学は「医学教育を通じて誠の人間を育成する」ことを目指している。「医療人たる前に誠の人間たれ」という建学の精神が表れていると言えるだろう。

対策

課題文の字数にばらつきがあるが、50分という指定なので、早く正確に文章を読めるようにしておこう。同時に設問文の条件をしっかり押さえることも重要である。岩手医科大学では、設問文に明確な指定があるので、この指定に沿った内容を論じていないなら、どんなにすばらしい内容であっても採点対象にすらならない。論じるべき点がはっきりと提示されている場合は、この点を決して外さないようにする必要がある。一定レベルの難易度で、一定量のある文章を正確に理解する読解力とともに、問われていることを正確に理解して的確に答える記述力の養成をしっかり行おう。さらに、600字という指定であるので、構成メモを作成し、小論文の序論・本論・結論の型に従ってまとめあげる練習を行おう。不要な要素を省いて論点を絞った文章を書く練習も不可欠である。核となる部分を決めて、不要な内容と必要な内容を選別し、自分の考えが正確に伝わる文章を書く練習を行う。同じ課題文型で400字~500字でまとめる自治医科大学の過去問などにあたってみるのもよい。

上記のように読解力と文章力を鍛えることは言うまでもないが、加えて日頃から様々な物事を多面的に考える練習を重ねるとともに、医療分野に関わらず、社会の動向に関心を持ち、政治経済分野、倫理分野、科学技術分野など、幅広い知識を身につけることが必要である。その際、「人として」「医療に携わる者として」「社会の一員として」といった視点を意識するとよい。もちろんすべてのテーマが医療と関わっているとは限らないが、私たちが生きている社会の問題についてどう考えるかは、個人の人間性、生き方と関わっており、自分という人間について知る機会にもなる。岩手医科大学が求めているのは、まず「誠の人間」に値する人物である。人として自分はどう生きてきたか、どう生きていきたいかということを考えて自分なりの考えを確立することは必要だろう。

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