有機化学の最重点照井式解法カード[パワーアップ版]
- 出版社
- Gakken
- 種類
- 参考書・講義調
- 著者
- 照井俊
- 難易度
- 教科書~入試標準+αレベル
383ページ・例題:14問
書評
有機化学の基礎から応用まで、丁寧な語り口調で書かれている本。教科書レベルを一通りマスターした人が、入試問題の標準+αのレベルまで解くための知識や考え方を学ぶのに適している。特筆すべきなのは、糖やたんぱく質、高分子化合物と言った、医学部で頻出の内容が手厚く説明されていることで、特に初学者もターゲットにしたような本ではこれらの内容がかなり薄くなっていることから、本書は医学部受験生が有機化学の最後のまとめをするのに適した本だと言える。また、命名法や構造決定の手順も順を追って説明しているため、一通りの知識はあるが、構造決定がうまくできないという人にはありがたい本だと思う。
ただし、問題数は14問と少なく、他に問題集を用意する必要がある。問題集は基礎問題精講・セミナー・などが適しているが、どれを選ぶかはその時のレベルによる。もし、基礎力が十分あると思うなら重要問題集や駿台の理系標準問題集などを傍用にしてもよいだろう。
旧版からの改訂で、ぐっと読みやすい紙面となり、親しみが持てるようになったが、内容が多く、高度なものも含んでいるため、初学者がこの本にいきなり取り組んでも十分使いこなすことは難しく、内容に振り回されてかえって時間がかかるだろう。初学者は「Do Startシリーズ ゼロから劇的!にわかる有機化学の授業」や「岡野の化学が初歩からしっかり身につく」などを使って、化学の考え方の基礎を学んでから本書に取り組むと良いだろう。
本書+セミナーが私立大学医学部を考えている人のゴール地点、本書+重要問題集が国公立大学医学部を考えている人のゴール地点、難関国公立大学で化学の難易度の高い大学を受験する場合は新演習や新理系の化学100選、標準問題精講までやっておくと良い。ただ、最後の3冊に関しては、本書を超える内容もあるため、考え方を本書で学び、その後、化学の新研究などを参照しながら進めていくと良いだろう。
目次
有機化合物の特徴と構造式
- THEME1:有機化合物の特徴と構造式
脂肪族炭化水素
- THEME2:炭化水素の所在と分類/THEME3:アルカン/THEME4:アルケン/THEME5:アルキン
脂環式炭化水素
- THEME6:シクロアルカン/THEME7:シクロアルケン
酸素を含む脂肪族化合物
- THEME8:アルコールとエーテル/THEME9:アルデヒドとケトン/THEME10:カルボン酸とエステル/THEME11:油脂とせっけん
芳香族化合物
- THEME12:芳香族炭化水素/THEME13:酸素を含む芳香族化合物/THEME14:窒素を含む芳香族化合物/THEME15:芳香族かご物の分離
糖類
- THEME16:糖類の基本と単糖類/THEME17:二糖類/THEME18:多糖類
アミノ酸とたんぱく質
- THEME19:アミノ酸/THEME20:ペプチド/THEME21:たんぱく質の構造と分類/THEME22:たんぱく質の性質と検出反応/THEME23:酵素
核酸
- THEME24:核酸
合成高分子化合物
- THEME25:合成高分子化合物/THEME26:付加重合による熱可塑性樹脂/THEME27:縮合重合による熱可塑性樹脂/THEME28:熱硬化性樹脂/THEME29:合成ゴム