大学入学共通テストで測れる力

センター試験と大学入学共通テストの違いは、下表で示したように測ることができる力の種類です。

記述形式が3問とはいえ追加されることで、まず、記述力と表現力を測れるようになります。そして、この表現力には、物事を考える思考力をより深めた、論理的思考力と情報活用能力が必要になります。

センター試験と大学入学共通テストの違い

  測れる学力 形式 難易度 時間 総評
センター試験 読解力 マークシート式 高等学校の学習内容を
確実に習得し、教科書内容を
確実に理解できる力が
あれば解けるレベル。
80分 センター試験、大学入学
共通テストともに、迅速
さ、正確さが必要。従来
のセンター試験同様に大
量の情報を迅速かつ正確
に処理する練習に加え、
複数の資料を比較検討
し、ポイントを押さえて
要領よくまとめあげる練
習などが必要となるた
め、受験生には早い時期
からの対策が必要とな
る。
情報収集能力
情報処理能力
思考力
判断力
大学入学共通テスト 読解力 マークシート式
+ 記述式3問程度の混合
【マークシート式】
現行センター試験問題と
同レベルと予想。
【記述式】
最難関公立中高一貫校受検生、
最難関私立中学校受験生、
特色選抜等を受験する
難関公立高校受検生
なら解けるレベル。
20分程度延長して
100分程度を予定
→記述問題にかけられる
時間はさほど多い
とはいえない。
情報収集能力
情報処理能力
思考力
判断力
情報活用能力
記述力
表現力

今回発表された大学入学共通テストのモデル問題例1では、複数の資料を提示し、それについての意見交換を行っている文章が提示されています。ここで、読解力・情報収集能力・情報処理能力・情報活用能力・思考力・判断力を測ることができます。(モデル問題例:PDF

これに加えて、記述問題が出題されるようになったことで、記述力と表現力を測ることができるようになります。正しい日本語で、論理的に誰もが理解して納得できる解答を書く記述力と表現力が求められているのです。

ここで、記述力と表現力について、少し掘り下げて見ていきましょう。まず、記述力とは、適切な言葉を用いて、正しい日本語で書く力です。

それでは、表現力とは、何でしょうか。表現力については、経済協力開発機構(OECD)による国際的な生徒の学習到達度調査(PISA型読解力)で次のように定義されています。「①相手意識がはっきりしていること。②目的がはっきりしていること。③意見・主張がはっきりしていること。④クリティカル(批判意識)であること。(=問題意識を持てること。)⑤論理的であること。」

大学入学共通テストのモデル問題を見ると、これらすべての要素をある程度測ることができるつくりになっているといえます。