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柳家の小論文学習法
第2回 医学部の小論文でよく出題されるテーマ① ターミナル・ケア

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基礎知識

1.ターミナル・ケアとは?

柳家 一朗

終末期の看護あるいは臨終の看護の意味である。すなわち、数週ないしは数か月のうちに死亡が予想される完全治癒の望みのない、いわゆる末期患者に対してキュア(cure/治療)でなくケア(care/看護)を重点的に行おう、とする医療のあり方をいう。

2.「終末期」とは、どう定義されるのか?

終末期という概念や言葉については、日本の法律、国際連合で採択された条約、厚生労働省、世界保健機関、医学学会、これら公的機関において明確な定義がなされてはいない。

公的で明確な定義がないので、終末期の意味は論者によって異なる。一般的には老衰・病気・障害の進行により死に至ることを回避するいかなる方法もなく、予想される余命が3か月以内程度の意味で表現されている。

例えば、癌などの病気では病状から大体の余命が予測出来るが、認知症ではターミナルの時期の確定が難しい。ただ一般的には、寝たきりになり介助をしても食べられなくなった・飲み込めなくなった時からを「ターミナル」とすることが多い。

さてここで重要な点は「『死』が、あらかじめ『予想される』」という点である。これがなければ「終末期」という言葉は、通常は使用しない。

例えば、事故・災害・急性の病気により突然に死亡した場合や、急性期の病気で何時間・何日間程度で死に至った場合は、死亡日以前に余命3か月などと予想される状況ではない。従って、死亡日から逆算して3か月以内を「終末期」と表現するようなことはない。従って「終末期」は、誰にでも死亡する以前に必ず発生するものではなく、進行性の老衰・病気・障害で死に至る場合にのみ発生する、ということになるのだ。

3.ターミナル・ケアの目的とは?

終末期の患者の特徴として、老衰、癌、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、パーキンソン病等々が進行していることがあげられる。そうなることにより「特定臓器が機能不全」または「多臓器が機能不全」になっているので、医学的に延命措置を継続することは不可能である。そこで延命措置を見送ることになる。すなわち病気や障害からの回復、病気や障害の進行の遅延、心身の機能の維持を目的とする医療、これらが不可能であるがゆえに、そうした措置をとられないのである。

それでは終末期の患者に対してはどのような措置がとられるのであろうか?まず、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減する(緩和医療)、という措置をとる。さらに精神的側面を重視した総合的な措置をとる。そうすることによって、人生の質すなわちクオリティ・オヴ・ライフ(QOL)を維持し、かつ向上することを目的とするのである。

4.ターミナル・ケアを行う施設は?

終末期の緩和ケア病床・慢性期の療養病床・老人介護施設・障害者介護施設等々だ。ターミナル・ケアを専門に行う医療施設は「ホスピス」とも呼ばれる。この外来語の語源である英語「hospice」の原義は、「聖地への巡礼者や旅行者を宿泊させた『巡礼教会』」である。またその一方で、患者や家族が在宅生活を希望する場合もある。こうした場合は、訪問医療・訪問看護による「在宅での見取りケア」という方法をとることが一般的である。

日本におけるターミナル・ケア実施施設は2種類ある。一つは「健康保険適用」の施設であり、もう一つは「介護保険適用」の施設がある。前者として、ホスピス・医療療養病床があり、後者としては、介護療養病床・介護療養型老人保健施設・特別養護老人ホームがある。

小論文のポイント

1.終末期における過ごし方

アンケートによると、日本人の実に90%以上の人々が、自分自身がいわゆる「寝たきり」「植物人間」としての延命治療を受けることに、否定的である。すなわち、日本人のほとんどが、終末期を迎えた際は残りの人生を有意義に過ごし、クオリティ・オヴ・ライフ(QOL)の維持・向上を望んでいる、と考えられる。

しかし実際、例えば癌であるとき、その痛みや苦しみに耐えながら日常生活を充実させることは困難となる。また、老衰や認知症の場合だと「終末期をどう過ごすか」に関しては自分自身でその場でリアルタイムに判断する能力が、すでに無くなってしまっている可能性すらある。

このように「人として最期を迎えたい」という本人の意思があったとしても、実際にそれを具現化するためには、乗り越えるべき大きな壁が存在するのである。

2.家族・親族の協力と意思

終末期の患者自身が「終末期をどう過ごすか」についての意思決定を明確に行うことは、難しい場合が多い。そこで家族・親族の協力と意思が、非常に重要となる。この場合、本人の意思決定が極めて難しいと客観的に認められることが前提である。

従って、そうした際における「ガイドライン」というものを予め作成して定着させていく必要があろう。さらに、可能であれば「法」として明確に示すことも考えられる。そうすることで家族・親族も安心して意思決定を行使できるのである。

もちろん、本人による事前意思が確認できれば最善であろう。従って私達は、もっと積極的に「意思カード」を活用すべきなのである。意思カードは、事故や災害等による急な「脳死判定」に関わるだけでなく、終末期の自分自身の死に対する意思としても充分に活用出来るのだ。

3.担当した医師による説明と観察

さて終末期の患者がホスピスや在宅ターミナルを望んだ場合を考えてみる。

前者の場合、担当した医師はホスピスの担当医師に、簡単な引継ぎをすれば充分であろう。ホスピスも一種の病院であり、そこのスタッフは医師・看護士であるからである。ただ、その引継ぎは粗くて不充分なものであってはならないのだが、それは当然のことであろう。

一方、後者の場合、同じ「引継ぎ」であっても、その相手はたいてい「素人」である。従って、出来れば在宅ターミナルよりもホスピスが好ましいのだが、現在それは医師側で決定できることではない。従って、担当医師による充分な説明が、家族・親族になされなければならないだろうし、家族・親族も真摯にその説明を聴いて実行せねばならない。しかし家族・親族はあくまでも素人であるがゆえに、実行には不安もともなうであろうし、場合によっては大きな失敗をしてしまう可能性もある。

そこで担当医師もしくは同じ病院の他の医師等、病院が一体となって、患者の観察を継続する必要があるだろう。定期的な往診も必要になってくるので、その際にしっかりと観察をして、不慮の事故を起こさぬように配慮するのである。

4.終末期を理想的に過ごすための新薬開発および医療技術の向上

もう一度確認するが、終末期の患者は死を目前にしているため、身体と精神に大きなダメージを持ったままになっている。私達が風邪をひいて高熱を出したときを想像すればわかると思うが、そのようなダメージを抱えている際に、わざわざクオリティ・オヴ・ライフ(QOL)を維持・向上させるような行動が、果たして出来るだろうか?恐らく極めて難しいであろうと考えられるのである。

さて、例えば癌の末期の苦しみは、多くの場合「麻薬」によって緩和されるという。しかしその麻薬によって、却って死期を早めてしまっている疑いもあり、また薬の効果が切れたときは、地獄の苦しみを味あわねばならない。

こうした諸事情を鑑みると、癌の麻薬に替わる「新薬」の開発が待たれるところである。苦しみを緩和できる特効薬のような新薬開発は、これから超高齢化社会を迎える日本にとっては朗報となるであろう。

しかし実際に「新薬」が定着するまでには時間がかかるだろう。そこで既存の医療技術をうまく活用して、末期の苦しみを緩和させるようにすると良い。たとえば、酸素濃度を高くするだけで人の細胞は活性化するらしいので、その性質をうまく利用した技術で、充実したターミナル・ケアが可能となるだろう。

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