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第34回:熱化学方程式④

今回は、反応熱をどのように測定するのかについて説明します。

加えた熱量と、物質の温度変化の間には Q(加えた熱量) = C(比熱)×m(質量)×⊿T(温度変化) の関係式が成立するというのは、熱化学方程式①ので説明しましたね。

この式を使えば、熱量から温度変化を求めたり、温度変化から熱量を求めたりする事ができます。

容器や水溶液の比熱と質量があらかじめ分かっていれば、反応の前後での温度変化⊿Tを測定して、この式を用いて化学反応で発生する熱量を求める事ができます。

温度変化の測定には、次のような装置を使います。容器は、熱が逃げないように断熱材でできていてふたがついています。また、内部の温度を測定できるように温度計が挿入されています。

温度変化の測定装置

この内部で、化学反応を行うと、温度が変化しますが、その温度変化を時間に対するグラフにすると、次のようなグラフが得られます。

温度変化のグラフ

さて、このグラフから反応前後の温度変化⊿Tを読み取りますが、そのためには、どこを読み取ればよいのか、分かりますか。

単純に考えれば、反応が始まった点Aの温度と反応が終了して温度上昇が止まった点Bの温度の差を温度変化⊿Tと考えればよさそうですが、点Bから点Cに向かって温度が低下しているのが少し気になりますよね。

そこで、点Bから点Cに向かってなぜ温度が低下しているのかを考えます。温度が低下しているのですから、容器から放熱が起こっているのでしょう。

断熱容器といっても、カップヌードルの容器の、もう少し程度のいいようなものですから、容器から少しずつ、熱が逃げているのです。カップヌードルの容器もお湯を入れて、カップを持ってみると、少しあたたかいですよね。これは容器から放熱しているからです。

さて、この放熱ですが、当然、化学反応が起こっている最中も起きています。点Aと点Bの温度の差を⊿Tとして採用すると、この放熱の効果を無視する事になってしまいます。

そこで、放熱の効果をちゃんと考えるために、直線BCと点Aを通り、縦軸に平行な直線の交点Dの温度と点Aの温度の差を温度変化⊿Tとして採用します。

温度変化のグラフ

この温度変化⊿Tを使って、先ほどの式を作れば、化学反応で生じた熱量を求める事ができるのです。

さて、今回は短かったですが、これでおしまいです。次回は、物質の構成についてお話しします。

平野 晃康

平野 晃康

株式会社CMP代表取締役
私立大学医学部に入ろう.COM管理人
大学受験アナリスト・予備校講師

昭和53年生まれ、予備校講師歴13年、大学院生の頃から予備校講師として化学・数学を主体に教鞭を取る。名古屋セミナーグループ医進サクセス室長を経て、株式会社CMPを設立、医学部受験情報を配信するメディアサイト私立大学医学部に入ろう.COMを立ち上げる傍ら、朝日新聞社・大学通信・ルックデータ出版などのコラム寄稿・取材などを行う。

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