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医学部受験の数学学習法 第3回
知識は定期的に整理し、苦手分野は早めに対策を!

基礎から実戦(実践)の橋渡しは、誰でも苦労するところです!

 今までそれなりに頑張ってきたはずなのに、模試の問題や入試レベルの問題になると、思ったように解けない・・・皆さんも、そういう経験をすることになる(または、そういう経験をしたことがある)と思います。教科書~入試基礎と呼ばれるレベルの学習を終え、いよいよ入試標準と呼ばれるレベルの学習に入っていく時期とのギャップは、ズバリ多くの人が悩まされるところです。特に、高3生に対しては、新学年に入って最初の模試を受ける(または結果が返ってくる)時期になぞらえて、「6月ショック」と言ったりすることもあります。なぜ、同じ学習段階や時期に、多くの人がつまずきを感じるのでしょう。その理由としては、以下のようなものがあると思います。

  1. ひととおり学んだ(はずの)知識に抜けがある。または、知識が定着していない。
  2. 学んで得た(つもりの)知識が、本当の意味で使えるようになっていない。
  3. 上記1、2の両方。もしくは、自分の状況がよくわかっていない。

 まず「1」の状況から抜け出すためには、基本的な内容の問題に多く当たることが必要になります。同時に、「問題慣れ」も出来ると思います。特に私大の志望者は、この段階に時間をかけるだけでも、ライバルにかなり差をつける(もしくは、追いつく)ことができると思います。たとえば、意外とバカにできないレベル・内容の問題をたくさん収録した問題集として、

  • 「Z会数学基礎問題集 チェック&リピート」数学Ⅰ・A/Ⅱ・B(Z会出版)

などが知られています。このシリーズは数学Ⅲまでありますが、中にはかなり難しい問題もありますし、3冊となるとボリュームに圧倒される可能性が高いので、例えば数学Ⅲだけは計算練習に特化して

  • 「数Ⅲ 極限・級数・微分・積分 試験に出る計算演習」(河合出版)
  • 「カルキュール数学Ⅲ[基礎力・計算力アップ問題集]」(駿台文庫)

のような問題集に取り組むなど、テーマを絞って学習するという手もあります。

 次に「2」ですが、この段階からなかなか抜け出せない人には、「ああ、あのとき習った内容を、こういうところで使うんだ」という、いわば「気づき」を得られるような学習を心がけて欲しいと思います。気づきを得られることで、知識は整理され、引き出せるようになります。そのためには、基礎の反復+αレベルの問題に、1問に時間をかけて取り組むとよいので、解法のプロセスが丁寧に解説された

  • 「数学Ⅰ・A(/他)標準問題精講」(旺文社)
  • 「数学Ⅰ+A(/他)の完全マスター」(文英堂)

といったシリーズがおすすめです。私はよく「肌に合う」と表現しますが、特にこのレベルの参考書・問題集には「出会い」の要素も大きいですから、極力自分の目で見て(書店で立ち読みなどしてみて)選ぶようにして下さい。信頼できる指導者が身近にいれば、おすすめの本を紹介してもらうのもひとつの手ですが、いずれにせよⅠ・AからⅢまでやろうとすると3冊(もしくはそれ以上)になってしまうので、解答・解説や導入を見てすぐに解き方が思い浮かぶ問題は省いていく、逆にどうしても解き方が分からないものは後回しにして後日しっかりやり直すといったように、取り組み方を工夫して下さい。

 そして「3」ですが、自分がどのレベルにいるか分からない人に今すぐやって欲しいことは、ズバリ「力試し」です。もちろん模試を受けるのも1つの手段ですが、大事なのは返ってきた結果の見方です。偏差値などの指標だけを見るのではなく、どの問題からどれだけ部分点がとれたか、答案の書き方の不備などで減点されなかったかといったように、自分の「力」がきちんと発揮できているかどうかを中心に見ていくことによって、今後の学習に繋げることができます。スタートレベルの話をしたときにも似たことを言いましたが、高い目標に向かっていくためには、やはり自己分析が欠かせません。

 とにかく、この時期は、皆さんにとっては踏ん張りどころです。この段階を突破すると、一気に目の前が「ひらけて」きますから、それを信じて頑張って下さい。

苦手分野を速習しよう

 目標点の高い医学部入試では、苦手分野を制することが欠かせません。そこで、ある程度の力がつき、自己分析もある程度出来るようになってきたら、苦手対策を真っ先に考えて欲しいと思います。が、苦手対策といっても、何か特別なことをしようとすると、身構えてしまいます。もちろん、基本事項から丁寧に導入してくれる

  • 「坂田アキラの確率(/他)が面白いほどとける本」(中経出版)
などの本もあり、おすすめではあるのですが、しっかりやるにはかなりの思い切りが必要です。また、やるにしても1~2冊(分野)程度に絞るとか、ザッと読むだけにして問題演習は他書で補うとか、何らかの工夫・見切りが必要になります。

「苦手対策を始めたいけれど、丁寧にやっている余裕はない、けれど何もやらないのは不安だ」という皆さんにおすすめなのが、今学習しているより少し低いレベルの問題を中心に扱った、コンパクトな演習書を活用する方法です。いわば、弱点を強化する以前の「弱点探し」に重点を置き、基本事項の再インプットは問題の解説やその合間に書かれた導入部を読むことで「ひととおり」行います。数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bはセンター試験平均点レベル、数学Ⅲは教科書本文~節末レベルを到達点としたものが、選択肢も多く、かつ利用しやすいと思います。たとえば

  • 「元気が出る数学」Ⅰ・A/Ⅱ/B/Ⅲ(マセマ)
  • 「数学基礎問題精講」Ⅰ・A/Ⅱ・B/Ⅲ(旺文社)
  • 「大淵智勝の数Ⅲ[極限・微分・積分・複素数平面・平面上の曲線]の基礎が面白いほど身につく本」(中経出版)

など、その他分野別の演習書には

  • 「教科書だけでは足りない大学入試攻略 7日間完成データの分析」(河合出版)

などがあります。

 しっかりやるなら1分野あたり最低でも1~2週間程度は必要ですが、本をザッと読むだけなら2~3日あれば出来ます。たまにしか出ないタイプの問題や、本当に難しい問題にまでは手が届かないでしょうが、とりあえず苦手意識だけでも払しょくすることさえ出来れば次につながりますから、期間を限定してやってみてください。

まとめ:私が述べたこと

  1. スタートレベルを知る/年間計画を立てる
  2. 入試基礎レベルを網羅する/ライバルの存在を意識する
  3. 知識を整理して、基礎から実践(実戦)へ/苦手分野の速習法
  4. 入試標準レベルに挑戦する/インプットとアウトプット
  5. 数学を得点源にする/得点が望める答案作成法
水野 健太郎

水野 健太郎

'73年9月14日生まれ。 大阪星光学院中学校・高等学校 出身 大阪大学基礎工学研究科 修士了 予備校講師等を経て現職。'98年から「数学参考書レビュー」サイトを運営。 現在は、講師の傍ら入試問題過去問集の解答執筆、各種模試等の作問も手がける。

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