藤田保健衛生大学 一般入試 生物
年度別出題範囲表
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
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2012 | 生体内の化学反応と酵素 | 細胞の増殖と生物体 | 刺激の受容と反応 | 内部環境とその恒常性 | |
2011 | 生物の進化、細胞の構想と働き | 内部環境とその恒常性 | 刺激の受容と反応 | 生物の分類と系統、生殖 | |
2010 | 発生 | 刺激の受容と反応 | 異化 | 生物の進化 | |
2009 | 遺伝情報とその発現 | 遺伝情報とその発現 | 細胞の増殖と生物体 | 内部環境とその恒常性 | 異化 |
2008 | 内部環境とその恒常性 | 発生 | 個体群と種の生存 | 刺激の受容と反応 |
2012 | 2011 | 2010 | 2009 | 2008 | |
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細胞の構造とその働き | 〇 | ||||
細胞の増殖と生物体 | 〇 | 〇 | |||
生殖 | 〇 | ||||
発生 | 〇 | 〇 | |||
遺伝 | |||||
刺激の受容と反応 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
内部環境とその恒常性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
環境と植物の反応 | |||||
生体内の化学反応と酵素 | 〇 | ||||
同化 | |||||
異化 | 〇 | 〇 | |||
遺伝情報とその発現 | 〇×2 | ||||
生物の進化 | 〇 | 〇 | |||
生物の分類と系統 | 〇 | ||||
個体群と種の生存 | 〇 | ||||
生物群集の生態 | |||||
生態系 |
2012年度
大問1はタンパクの構造、酵素に関する問題。穴埋め問題や記号問題が多く、解きやすい。大問全体を通して標準といったところ。問9以外基礎問題。満点を取りたい。問9はホルモンの範囲を学習するときに習うかもしれない。知らずとも考えればできる。
大問2は細胞周期に関する問題。穴埋め問題や記号問題が多く、解きやすい。大問全体を通して標準といったところ。問題文がとても丁寧に書かれており、一読で簡単に実験詳細の把握、背景知識の励起が行える。特に難しい問題はない。言うことなし。
大問3はガス交換、膜電位に関する問題。記述問題や描画問題が見られ、大問1,2とは雰囲気が違う。大問全体を通して標準といったところ。問4の皮膚呼吸の仕組みを考えさせる問題は多少化学的な知識が必要で、難しいが、押さえるポイントとして「酸素の取り込み」と「二酸化炭素の排出」について述べられていれば多少の化学的な誤りがあっても大きな減点はないだろう。
大問4は腎臓の働きに関する問題。穴埋め問題や記号問題が多く、解きやすい。大問全体を通して標準といったところ。問6 ii)以外基礎問題で言うことなし。問6 ii)はアクアポリンはチャネルなのでATPを用いた機敏な開閉はできないことを念頭に入れれば、数的な超世知をすることは容易に予測できるだろう。
2011年度
大問1は生物史、細胞質の性質、万能細胞に関する融合問題。大問全体を通して易~標準といったところ。穴埋め問題や一問一答が多く、解きやすい。どの問題も基礎問題で言うことなし。
大問2は膵臓の働きとホルモンに関する問題。大問全体を通して易~標準といったところ。穴埋め問題や一問一答が多く、解きやすい。どの問題も基礎問題で言うことなし。
大問3は神経における興奮の伝道と伝達に関する問題。大問全体を通して易~標準といったところ。穴埋め問題や一問一答が多く、解きやすい。問9に関しては、一見難しそうに見えるが、波形の振幅の大小=興奮細胞数の多少というお決まりパターンに持っていくだけ。
大問4は種の分類と多様性、減数分裂に関する融合問題。大問全体を通して易といったところ。穴埋め問題や一問一答が多く、解きやすい。どの問題も基礎問題で言うことなし。
2010年度
大問1は中胚葉誘導と原基分布図に関する問題。記述問題がくつか見られるが難しいものはなく、大問全体を通して標準といったところ。問題文の主旨が明快なのでそれをヒントに考えることができれば記述問題にも対応できるだろう。
大問2は神経と筋収縮に関する問題。計算問題やグラフ選択問題があるが、問題文に沿って考えれば難しいことはない。問4,5のような神経伝達速度の計算は頻繁に出題されているため、繰り返し演習しておく必要があるが、応用問題は出題されていないため、基本問題でとどめておいても支障はないだろう。
大問3好気呼吸に関する問題。一問一答がほとんどで、大問全体を通して易と言ったところ。どの問題も問題集を解けば載っているような典型問題ばかりで、確実に得点したいところだ。
大問4は共生説に関する問題。記述問題も見られるが、いずれも易しく、大問全体を通して易といったところ。共生説の範囲を履修すれば必ず一度は当たる問題のオンパレードで、大問3と併せ確実に高得点したい大問である。
2009年度
大問1は一遺伝子一酵素説に関する問題。生活感の観点から変異について述べる問題など、幅広い知識が必要とされている。大問全体を通して標準といったところ。問8に関しては、X線照射など、通常の実験問題を解き慣れている受験生にとっては慣れない操作かもしれないが、何かの操作の後に希釈したり洗浄したりするのは、ほとんどといってよいほど、直前の操作の影響を排除するためである。この問題も例外ではない。
大問2はDNAの複製に関する問題。バンドを見る問題はよく出題される典型パターンであるし、出題される問題ももはやテンプレート化されていると言っていい。演習を積み上げれば必ず満点がとれる。大問全体を通して易といったところ。計算問題が見られるが、代入するだけで答えは得られるのでとても簡単。言うことなし。
大問3は細胞周期に関する問題。計算問題も見られるが、細胞周期の問題によくみられる典型問題だ。大問全体を通して標準といったところ。言うことなし。細胞周期に関する秀逸な問題が過去に京都大学で出題されたので、要チェックだ。
大問4はホルモンに関する問題。一問一答が多く、易しい。大問全体を通して易といったところ。言うことなし。
大問5は呼吸に関する問題。教科書の内容未満のことしか問われていない。大問全体を通して易といったところ。言うことなし。
2008年度
大問1は肝臓の構造と働きに関する問題。記述問題も見られるが、簡単。大問全体を通して易といったところ。この大問で間違えるとしたらビリルビンを知らなかった場合だけか。
大問2はキメラマウスに関する問題。ES細胞も登場し、難易度が高い。大問全体を通して難といったところ。問6は記号選択問題であるものの、深い思考と確かな知識がないと解けない。
大問3は生態系に関する問題。藤田保健衛生大学にしては珍しい範囲からの出題となった。大問全体を通して標準といったところ。問3,4などはおそらく教科書に載ってはおらず、自身で考える必要がある。面白い出題である。
大問4は骨形成と筋収縮に関する問題。高校生物ではマイナーなホルモン名を問うたり、筋の痙攣について問うたりと、イレギュラーな問題である。大問全体を通して標準といったところ。問6は、テタニー症の仕組みが分かっていなくとも、筋収縮の仕組みが分かっていれば解答できるだろう。
過去5年間の分析
範囲別出題回数
一つの大問の中に二つの異なる事柄が出題されていた場合、それぞれを一回としてカウントした。
生態系 | 2 |
---|---|
酵素 | 1 |
細胞周期 | 2 |
ガス交換 | 1 |
膜電位 | 1 |
恒常性 | 4 |
生物学史 | 1 |
細胞質 | 1 |
万能細胞 | 2 |
生物の分類 | 1 |
減数分裂 | 1 |
発生 | 4 |
神経 | 1 |
筋収縮 | 2 |
呼吸 | 1 |
進化 | 1 |
DNAの複製 | 1 |
生態系 | 1 |
出題範囲の傾向
毎年出題される決まった範囲はないが、恒常性、発生の範囲が頻出である。広い範囲から万遍なく出題されるため、幅広い学習が必要である。
問題形式
大問の数としては2009年度のみ5問で、他はすべて4問である。大問ごとの問題形式は次の表のようになる。
知・・・知識問題 実図・・・実験問題、図表読取問題
年度/大問 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
---|---|---|---|---|---|
2012 | 実図 | 実図 | 実図 | 知 | - |
2011 | 知 | 知 | 実図 | 実図 | - |
2010 | 実図 | 実図 | 知 | 知 | - |
2009 | 実図 | 実図 | 実図 | 知 | 知 |
2008 | 知 | 実図 | 知 | 知 | - |
知識問題と実験、図表読取問題が半々で出題されている。また、知識問題とはいっても、単に知っていれば正答できるという簡単なものではなく、しっかりと思考して初めて答えにたどり着くといった、難度の高い出題も見られるため、知識問題だからといって侮ってはいけない。
小問の数は5年間で154問、大問1題平均7,3問で、受験問題としては標準からやや多めといったところ。小問数で大問を分けると次の表のようになる。
小問数 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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大問数 | 3 | 5 | 3 | 3 | 6 | 1 |
小問数はいずれの大問題も5~10問で9問が最も多い。
記述問題の数は、2012年からさかのぼると順に、5,3,3,1,5問で、このうち字数制限のあるものは、50字が1問、40字が5問、30字が4問で、計10問、残りの7問は字数制限なしである。ただ、字数制限なしとはいっても、ほとんど40字程度のことを書けばよいので、あまり字数制限ありと大差ない。したがって分量としては総じて少ないと言える。記述問題の内容としては標準的な問題集を解いていれば必ず解くことになる典型的な問題が多く、解答に困ることはないと思われる。そのため、それまでの学習の成果が色濃く結果に表れる問題構成と言えよう。