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近畿大学 一般入試 物理

近畿大学の理科は二科目合わせて120分。単純計算で一科目あたり60分の計算である。

問題形式について

まず大問について。
大問は2008年度から2012年度まで一貫して3問という形式になっている。これは今後も崩れる事は無いだろう。単純計算で、大問1問あたりにかけられる時間は20分である。

次に小問について。
形式としては、ほとんどが(1),(2),・・・という構成になっているが、一部その中でも(a),(b),・・・と細かく分かれているものや、ある特定の( )内で文章の穴埋めをするものもあった。しかし大体は普通の(1),(2),・・・という構成で、その( )毎である操作をして状態が変わっていくものだった。今自分が解いている小問がどのような物理状態の物なのかを逐一正確に把握した上で取り組まなければならないだろう。

以下に各大問あたりの小問数の表を示す。ただし、上で説明したような(a),(b),・・・はそれ一つ一つを小問1問とし、穴埋めは全体をまとめて1問とカウントする。

年度 2012 2011 2010 2009 2008
小問数 第1問 6 4 7 6 7
第2問 5 5 6 7 5
第3問 6 5 7 5 7
合計 17 14 20 18 19
平均 5.67 4.67 6.67 6 6.33

次に、大問あたりの小問数とその出題回数の表を示す。

小問数 4 5 6 7
回数 1 5 4 5

上の表から、最も多いのは5問ないし7問の小問で構成された大問である事がわかる。ただし、小問数はどちらかといえば減少傾向にある事と、小問7問の大問が2010年度以前に集中している事から、小問数が7問以上の問題が今後出る確率は低いのではないかと思う。

来年度もこの流れに乗るかどうかは正直自信が無いが、小問数は毎年増えたりへったりを繰り返しているので流れに乗れば2013年度の小問数は減るかもしれない。

大問1問あたりにかけられる時間が20分だとすると、小問1問あたりにかけられる時間は、最も小問数の多い2010年度では3分、最も少ない2011年度では4.3分だった。5年間で合計で出題された小問は88問だったので、1年度の平均小問数は17.6問、大問1問あたりになおすと5.9問だった。よって、2008~2012年度の5年間を通して平均して小問1問にかけられる時間は3.4分となった。なので、小問1問を大体3~4分で片付けよう、という意気込みでよいと思う。もちろん中にはすぐに解けてしまうような問題や、3分4分ではとても、という問題も混じっているので、あくまで目安のつもりで。

出題範囲について

以下に、年度・問題別の出題範囲の表を示す。

  第1問 第2問 第3問
2012年度 力学
単振動
等速円運動
電磁気 磁場中の電荷の運動 波動 凸レンズ
2011年度 力学
等速円運動
摩擦
電磁気 電場
コンデンサー
熱力学 断熱変化
2010年度 力学 斜面での運動
衝突
波動 光の屈折・反射 電磁気 コンデンサーを含む回路
コンデンサー
2009年度 力学 地球貫通トンネル 電磁気 磁場中の導体棒 波動 ドップラー効果
2008年度 力学 斜面での運動
動滑車
波動 回折格子 電磁気 自己誘導
相互誘導

この表を見ると、どの年度も力学、電磁気の問題を1問ずつ含み、残りの1問は熱力学か波動か、という事だろう。5年間で熱力学の問題が出題されたのは2011年度の1回だけだが、これは今まで出さなかったのを2011年度で出すようになった、ともとれるので5年間のうち1年だからといって次も熱力学の問題が出ないとは言い切れないと思う。五分五分といった所だろうか。

問題について

まず全体を通した雑感について。

どの問題集にも載っているような典型問題に、一本尾ひれがついたような問題がほとんどだった。一部2009年の力学などレベルの高い内容もあったが、その分誘導がとてもしっかりしていたので自力で解く実力が無くても流れに乗っていけば全てあるいはかなりいい所まで解ける問題が多かったと思う。とにかく全体的に誘導が丁寧で、それも踏まえた上で難問と言える問題はほとんど無いと言っていいと思う。なので、難しい問題を解く力よりも、いかに早く、正確に、誘導を読み取って解けるか、といったようなさながらセンター試験のような能力が求められていると思う。

次に、各年度について書いていこうと思う。

2012年度

全体

全体的な難易度は普通。いわゆる典型問題に少し手が加わったような問題ばかりだった。しかしその分誘導もしっかりしているので、その典型問題をいかにしっかりとやれているかがカギになってくると思う。特別時間が足りなくなるような分量でもないので、とにかく取れる所をしっかり取っていこう。

第1問 力学 単振動 等速円運動

難易度は普通。斜面上における単振り子と、台の当即円運動による遠心力について考察させる問題。斜面上ならともかく、普通の重力下での単振り子の問題ならば一度はやった事があるだろう。それが斜面上となったのでgがgcosαに変わっただけ、と考えれば(3)までは割とさくさくといけるはずだ。(4)以降は台全体を回転させて、物体に働く遠心力と、その条件下での単振り子の単振動について考察している。これも遠心力という概念がわかっていれば普通の単振り子の問題に尾ひれがついた程度の問題だと思う。単振り子はやった事が無い、という人はこの問題はほぼ全くと言っていいほど手がつけられないので、典型問題は幅広く対応する必要があると思う。

第2問 電磁気 磁場中の電荷の運動

難易度は普通。磁場中に電荷をうちだし、その後の運動を考える問題。後半は電場も絡んでくる。問題として問われている事の難易度は多少高いかもしれないが、説明がとても丁寧なのでその説明によって難易度を下げているという風に見える。電荷を磁場中に打ち出すとローレンツ力を受け、等速円運動(もしくはらせん運動)をする事がわかっていれば全て解けてしまう問題だと思う。

第3問 波動 凸レンズ

難易度は普通。凸レンズと、後半は平面鏡について考察する問題。前半はレンズにおける公式を証明させるような問題。後半で鏡が登場するが、鏡によるスクリーンの像を描き、それに物体の像が投影されると考えれば(1)で示したような公式も使えるので、あとは倍率などを考えてかなりさくさくといけるはずである。また後半は計算しなければならない場面が少ないので、計算力よりも想像力が問われる部分が大きいと思う。

2011年度

全体

全体的な難易度はやや高め。5年間で唯一の熱力学の分野の問題を含む年度である。それだけで焦ってしまい第3問にほとんど手がつかなかった受験生もかなり多いのではないかと思われる。それまで出ていなかっただけにこの年度に受験した受験生に「熱力学もしっかり対策しておくべきだった」とは言えない部分もあるが、2013年度以降を受験する受験生はこの年度を踏まえて熱力学もしっかり対策しなければならない事を頭に留めて貰いたい。

第1問 力学 等速円運動 摩擦

難易度はやや低め。棒についた物体を滑らないように等速円運動させ、物体が滑ったり上がったりしない条件を考察する問題。前半はよくあるような力学の問題で、後半は棒が摩擦のあるものに変わりワンランク上がるが、そう特別やる事が変わったかといえばそうでもない。条件ごとにしっかり物体に働く力を考察していけば、全てとる事ができると思う。解けるかどうかという事よりも、いかに正確に早く解けるか、という事が勝負の分かれ目になるだろう。

第2問 電磁気 電場 コンデンサー

難易度は普通。電気力線という切り口から、導線やコンデンサーの周りにできる電場を考察する問題。この大学の問題の例に漏れず誘導がかなりしっかりしているので、かなり考えやすくなっていると思う。(3)以降はコンデンサーについてミクロな視点から考察している。Q=CVというコンデンサーの基本式がきちんと理解できているかを問われている部分だと思う。

第3問 熱力学 断熱変化

難易度はやや高め。断熱材に閉じ込められた気体の断熱変化について考察する問題。この大学の過去5年間の問題の中で唯一の、熱力学の分野から出題された問題である。実際にこれを受けた受験生の中には、まずこれだけで焦ってしまった受験生も多いだろう。よって、中身の難易度よりも範囲という観点から難易度をやや高めに設定した。等温変化、定圧変化、定積変化、断熱変化の違いをしっかりわかっていないと、後半は解くのが厳しいかもしれない。それまで熱力学が出ていないので、あまり対策に重点を置かなかった人が多いと思うので仕方がないと言えば仕方がないが・・・。とにかく、上でも説明した通り2013年度以降また熱力学の問題が全く出ないとは言い切れないので、この分野にもしっかり力を割いて臨むべきだろう。

2010年度

全体

全体的な難易度は例年通り。中身の典型的な問題達ばかりなので、一般的な問題集をしっかり対策していれば必ず一度は目にした問題ばかりだと思うし、ここが難しいと思う部分もほとんど無いと思う。時間との勝負になってくると思うので、早く正確に解く技術を身に付けよう。

第1問 力学 斜面での運動 衝突

難易度は普通。斜面上を運動する物体について考察する問題。こういった問題も時々問題集で目にすると思うが、そのどれもが斜面に平行、垂直にx軸、y軸をとって考えるのを定石としている。そうすると大抵あとは割と単純に解けるのだが、そうではなく普通に図の縦横にx軸、y軸を取るとどうなるかというと、放物線と直線の交点を考える事になりとても面倒くさくなってしまうのだ。この軸の置き方については、問題文で丁寧にも与えてくれているので大丈夫だろう。次のカギは、物体の運動を「斜面に平行な方向」と「斜面に垂直な方向」に分けるという事である。実際の物体の運動は、これら二つのベクトルを足したものになるのだが、そうすると前者はただの等加速度運動、後者は鉛直運動となるので随時それらの都合の良い方を考えれば後半の問題は解けるはずである。ちなみに(5)は、t1、t2をわざわざ計算しなくても衝突直後の速度が直前のそれのe倍になるとわかれば落ちて戻ってくるまでにかかる時間もe倍、と簡単に出てしまう。

第2問 波動 光の屈折・反射

難易度はやや低め。光線の二つの経路の経路差を考察する問題。全体的に問題集でもよく見る問題である。その上経路差の考察もしっかり誘導を用意してくれているので、これはしっかり取っていきたい問題である。

第3問 電磁気 コンデンサーを含む回路 コンデンサー

難易度は普通。まずコンデンサーを含む回路でコンデンサーをマクロな視点から考察し、次に極板間に誘電体を挿入するなどミクロな視点から考察する問題。コンデンサーの問題に多く触れていないと、全て解答するのは難しいかもしれないが、問題の難易度としては決して高くはないと思う。毎年必ず電磁気の問題は出るので、これはしっかり対策しておいて欲しい。

2009年度

全体

全体的な難易度はやや高め。第2問、第3問は典型問題だが、第1問の題材が地球貫通トンネルとかなりレベルの高い物を選んできている。ここで焦ってしまった人はかなり多いだろうと思う。また第3問もドップラー効果について円運動と等速直線運動の二つについて考察させているので他と比べて少し重いと感じるかもしれない。第2問は確実に全て取って、第1問と第3問は各々得意な方、取れる方に重点を置いて取り組むのがよいと思う。

第1問 力学 地球貫通トンネル

難易度はやや高め。この問題は実は超有名問題で、2005年度の前期試験で東京大学が取り扱ってから様々な大学で入試問題として使われている問題である。東京大学の方は物体が一つだけだったと記憶しているが、この問題では2物体を衝突させている。といってももちろんそのままでは難しすぎるのでかなり数値を与えるなどして難易度を下げてはあるが、この大学は典型問題がかなり多いだけに、戸惑ってしまった受験生は多いのではないかと思う。この問題を全て取るべきだとは思わないが、誘導に出来るだけ乗って各々解ける所まで最大限は解こう。

第2問 電磁気 磁場中の導体棒

難易度は普通。磁場中で動く導体棒について考察する問題。いわゆる典型問題なので、これは全て取りたい所である。

第3問 波動 ドップラー効果

難易度は普通。運動をしている音源からの音波について考察する問題。波動という分野を光と音と大きく二つに分けた、音の要の部分のドップラー効果についての問題である。前半は円運動する音源、後半は等速直線運動する音源について考えるような構成になっている。どちらも必ず一度はやるであろう典型問題だが、ドップラー効果という分野はイメージがしにくいだけにそもそも苦手で敬遠しがちな人が多いと思う。しっかり時間を割いてきちんと理解するようにしよう。

2008年度

全体

全体的な難易度は例年通り。第1問は全て取って、第2問で(4)まで、第3問で残り時間一杯まで解ける所を解く、といった作戦が最も良いだろうか。難易度が高い、というよりも分量が多い、といった感じなので、化学との折り合いをつけつつ時間の許す限りペンを動かすようにしよう。

第1問 力学 斜面での運動 動滑車

難易度は普通。斜面上にある物体と動滑車に繋がれた物体の運動を考察する問題。これも典型問題だと思う。動滑車と定滑車の違いを明確に理解した上で、ミス無く早く全て解けるようにしよう。

第2問 波動 回折格子

難易度はやや高め。回折格子に入射する光波について考察する問題。回折格子自体は教科書でやる分野だが、この問題では波長の違う光も入射させてそれについて考えさせている。この部分が一段階レベルが高く、(5)が解けるか解けないかというのは一つの分かれ目になってくると思う。

第3問 電磁気 自己誘導 相互誘導

難易度はやや高め。コイルの自己誘導と相互誘導について考察させる問題。これも典型的な問題だが、高校で履修するのが遅いため現役生はほとんどと言っていいほど手がつけられない分野である。後半にグラフを書くところもあるので、他の問題と比べても分量が多く重い問題だと思う。

 

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