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大阪医科大学 一般入試 生物

これ以下ではより細かく難易度別に分類するため、基本的に大問を易、やや易、標準、やや難、難の5段階とそれぞれの中間の4段階、計9段階で評価します。が、あくまで私の主観です。私の傾向として、記号選択、単語記述などは易しく、記述問題、図表読取問題は難しく評価する傾向があります。

2012年度

大問1は腎臓の働きに関する問題。全体として標準~やや難。問2の(2)がなければ標準であった。この問題はろかと再吸収の差異を問う問題で、問題を解くだけの薄っぺらな知識だけを身に着けていては到底解けない。しかし、教科書レベルではなく、非常に細かい知識ではあるものの、図表には必ず記述があるし、しっかりと知識が定着されていれば難なく解ける。輸送の方法という生物体内の根幹的なことを問う良問だ。

大問2は光合成に関する問題。全体としてやや難。

問3の後半に対する赤本の答えは不十分であると思われる。字数制限がないのだから、30℃ではどうかということにも触れた方がいい。

問4は珍しい出題である。光合成の反応速度を明反応と暗反応とで分けて答える問題である。問題文には記述されていないが、明反応は温度の影響を受けないが暗反応は受けるという知識が頭に入っていれば容易に正答が可能。教科書には載っているものと載っていないものとがあるかもしれないが、図表には必ず載っている。(おそらく表でまとめてあると思われる)問5の問題文には「有機物」と書かれているが、高校生物で有機物といわれたらグルコースとしてよいのは暗黙の了解。光合成式を思い出してしっかり換算しよう。

大問3は原基分布図に関する問題。全体としてやや易~標準。

問4は典型的な記述問題。教科書にさえ必ず載っている。しっかり得点したい。問7の描図問題は珍しい出題ではあるが、尾芽胚の単調な図を描けばよいだけだし、尾芽胚という単語と図をしっかりと暗記を通して結びつけてあれば申し分ない図が描けよう。

大問4は遺伝に関する問題。全体として標準。

問4の不完全優勢であることを示す問題は、「一方の遺伝子を固定したとき、他方の遺伝子による表現型が3つ存在する」不完全優勢の定義を思い浮かべればよい。それ以外の問題は表を描けばそのまま答えがであるようになっているので、苦労はない。不完全優勢と致死遺伝子が混ざった遺伝問題ではあるが、複雑ではない。

2011年度

大問1は免疫に関する問題。全体として標準。

問3の血球の抗原抗体反応を説明させる問題は、定義そのものを答えればよい。使用する用語も指定されているのでなおさら容易に回答することができる。だが、記述問題全般に言えるが特にこの免疫に関する問題は、何が何のどこにどう結合、反応するのかはっきりと書かなければ伝わりにくいため、しっかりとした日本語記述力が試される。2012年度のろかと再吸収の差異を答えさせたりする問題と合わせて、定義や様式そのものを答えさせる問題が多い。

問4は高校生物でならう免疫療法2つのうち血清療法を答えさせる問題である。これも問3同様、血清療法の定義をそのまま書けばよい。ちなみに免疫療法の残る一つはワクチン療法である。

大問2は細胞説と顕微鏡の使い方に関する問題。全体として標準。ただ、この大問は得点できる人とできない人との差がはっきりと出る問題だろう。以下に説明する。

問1の(a)は細胞説の定義を答えさせる問題。これも定義を述べるだけで、しっかり暗記してあれば確実に得点できる。あわせて(b)も同様である。しかしすこしでも知識にぶれがあると途端に原点を食らうだろう。定義をこたえさせるのだから、少しでも違えば部分点はあまり望めない。

問3のa)のしぼりを使用する目的を書かせる問題は、教科書には載っていないが図表には載っていると思われる知識である。ただこれも暗記してあれば解ける。知識の定着が確実になされているか否かがそのまま点数に反映される大問である。問3のc)はよくある浸透圧変化とそれに伴う細胞内外の物質収支を答えさせる問題。

大問3は光合成、代謝、眼の働き、呼吸商に関する、それぞれが独立した記述式小問から成る問題。全体としてやや難~難。まず、大問1が非常に難しい。問題文はわずか2行、非常に短い。しかしその分情報量が少なく、受験生の知識量が試される。「エンゲルマン」、「アオミドロ」、「好気性細菌」という3つの単語から、頭に図が思い浮かび、さらにその実験と結果を回答欄に書けた受験生はどれほどいたのか。この問題ほど、図表を図とともに暗記する勉強法が役立つ問題はない。図表には必ず図入りで実験とその結果が載せられている。しかしわざわざ受験ではあまり問われないエンゲルマンの実験を、しかも記述丸投げ方式で答えさせる大阪医科大学はなかなか粋なことをする大学だ。それ以降はよくある記述問題。これらは教科書程度を暗記しているだけで簡単に答えられる。

大問4は酸素解離曲線に関する問題。問2のヘモグロビンの重量を答えさせる問題は出題が珍しい。計算の仕方は多少化学のセンスを問われるが、それぞれの数値の定義を考えれば難なく正答できる。

問3も出題が珍しい。解き方は問2同様。これ以外は典型問題だが、大阪医科大学の問題には他では見られないような独特な出題が多くみられ、この問題でもそれは顕著であった。

大問5は遺伝、ホメオティック遺伝子に関する問題。全体としてやや難。まず、ホメオティック遺伝子については教科書には発展として乗っているかいないか微妙なところで、図表には必ず載っている。ただ、高校生物の遺伝分野でも相当発展的なところで、ここまで学習の手が回っていない受験生も多かったのではないだろうか。手が回っていればやや難程度だが、回っていなければ問1から戦意喪失だろう。

以下、問題の解説。問2は実験結果から読み取らなければいけないようであって、実は図表の暗記のみで完全に正答できる問題である。問4の前半の交雑できない理由もホメオティック遺伝子の植物分野の問題でよくある典型問題である。後半の遺伝問題は簡単な二遺伝子雑種の形式。

2010年度

大問1は進化と分類、種間関係、血糖調節に関する問題。全体として易。3つの文章のうちから、2つを選ぶ穴埋め問題。どれを選んでも大差ないが、自分の得意なものを選ぶか、時間があれば全て目を通してみてからできたものを選べばよい。ここで(a)の(9)マーグリスは誰も知らないだろうと思われるので、(b),(c)を選ぶのが妥当かと思われる。ただ、(b)の種間関係の分野は現役生では弱い人もいるかもしれないのでそうしたときは一問落としてでも(a)を選んだ方が賢明か。問題の内容自体はマーグリス以外基礎問題で特筆すべきことはなし。

大問2は様々な分野から独立した8問の記述問題が出題されている問題。全体として難。

①は、まず内容がバイオテクノロジーの分野で現役生の苦手とする分野かもしれない。プラスミドに遺伝子を組み込む操作は受験にもよく出るし大学でも実験の初歩的な操作として学ぶので必ず覚えよう。もちろん図表には絶対に記述がある。

②はよくある問題であり、暗記してしまいたい。③は半保存的複製の定義を答える問題。本当に大阪医科大学は定義が好きだ。④は回転覚受容の仕組みを答える問題で、珍しい出題。図表の学習を通して頭に図をイメージできるかがカギ。

⑤、⑦は基本問題。⑥は実験の結果を直接問われているので、「どのような実験をし、どのような結果が得られたかは皆さんには周知のことと思いますが」という大学側からのいやらしいメッセージがこの問題には含まれている。これほど図表の暗記が重要となる問題はない。

⑧光化学系Ⅱの働きのみ問われているが、光合成の仕組み全体を図としてイメージしながら説明できるレベルにまで引き上げておこう。

大問3は伴性遺伝と連鎖に関する問題。全体として標準。この大問はどの小問も標準的なもので解きやすく、記述問題もあるが容易に答えられるものばかりだ。ただ、問題文が非常に長い。前半は解法上何ら関係ないことしか書かれていないので読み飛ばしてもよいほどだ。しかし実際には読み飛ばすわけにはいかないので、時間と相談したうえで、関係ないと判断したところを斜め読みでやり過ごす技術も必要になってくると思われる。これほど長い問題文で解法に関係ないものをつらつらと書くのはよほど受験生に時間を使わせたいのだろうと思ってしまうほど。

問1の優性の証明、問4の組換え価の求め方、この2問が記述問題であるが、どちらもよくみられる典型問題だ。他の問題は特筆すべきことなし。この大問は標準レベルだが解きやすい問題が多いので満点を狙いたい。

大問4は電気刺激への神経応答に関する問題。全体として標準~やや難。

問3は問題文に「③と④」を比較し、「細胞内電位変化の結果」を述べよとあるので、刺激の強さと閾値の関係、それに伴う活動電位の発生を記述すればよいが、もし「細胞内電位変化」を述べよとあった場合、脱分極刺激、イオンの流入に伴う脱分極、チャネルの開放などの一連の流れをすべて記述する必要がある。この問題では一部のみが問われているが、静止状態から活動電位が発生するまでの流れはしっかりと暗記しておこう。問4はよくある問題で、閾値以上ならば刺激をいくら強くしても活動電位の大きさが変わらないことを記述すればよい。

なお、問3,4は全か無かの法則に関する問題である。問5は珍しい出題で、負の電気刺激を神経に与えている。聞きなれない操作ではあるが、グラフから、閾値以上の刺激ではあるが活動電位は発生しないことが読み取れるので、ここまで来れば何も焦ることはない。落ち着いて解答したい。

2009年度

大問1は植物の生産構造図、進化、発生に関する問題。全体として易。3つの文章のうちから、2つを選ぶ穴埋め問題。どれを選んでも大差ないが、自分の得意なものを選ぶか、時間があれば全て目を通してみてからできたものを選べばよい。

(b)の(4)イクチオステガを答えさせる問題についてだが、イクチオステガは教科書にも出てくるほど有名ではあるが、これを両生類の最古の化石として記憶しているかどうかがポイント。これに加え、意外と(1)のあごが埋まりにくいのではないかと思われる。進化の分野はあまり受験には出ないところだし、現役生は弱くなりがちなところでもあるので、上記のような問題も考慮に入れると(a)、(c)を選択するのが無難であろう。なお。(c)は非常に解きやすいのでこれは確実に選択したい。

大問2は呼吸と光合成の速度判定に関する問題。全体としてやや易。

問1~3はまとめて考える必要がある。呼吸と光合成の速度判定の問題ではあまり登場しない金魚が今回出題されていてそちらに目が行きがちだが、暗状態では植物が呼吸をしていることをしっかりと頭に入れておかないと思わぬミスを招くこととなる。慣れないものが出てきてもしっかりと落ち着いて対応しよう。この問題もとどのつまりは、よくある大豆種子をフラスコに入れてフラスコ中の液体を水酸化カリウムと水とで変えて、ガラス管中の水の移動距離を計測する実験と何ら変わりはないのである。問4も典型的とまでは言わないものの、ときどき見かける問題で、比例式を作るだけで簡単に解くことができるので、知らなかった人はこれを機にしっかりと理解して覚えよう。

大問3は様々な分野から独立した8問の記述問題が出題されている問題。全体として難。

まず①は難。この大問のなかで一番難しい。フリッシュの魚を用いた学習実験はふつう教科書、図表には載っていないため、どのような実験を行ったかを自分で考えなければいけない。答えを見てしまえば簡単な実験のように思われるが、このような実験を研究者が提案することでさえ難しいのに、まして解答時間の限られた受験生がすぐさま思いつくだろうか。この問題は思いつかなければ無回答で飛ばしてもよいほどだ。いわゆる捨て問か。ただ、色の識別に関する視覚実験の際は背景(動物のサイズや生活環境によってそれが部屋の壁であったり、照明の色であったり、水槽の内壁であったりと変化はあるが)の色を変化させるのが有効手段であることは、教科書や図表の視覚実験からも読み取れるので(実際にそのような記述はないが)覚えておきたい。

②、③、⑤、⑥、⑦は標準。このうち②、⑤、⑥、⑦はいろいろと答えなければいけないことは多いが、聞かれている内容はただの知識問題に過ぎない。

③はアレルギー反応の仕組みを説明するもので、頻出であるので必ず覚えてしっかりと説明できるようになっておきたいが、ヒスタミンという語を忘れないようにすることと、複雑な文章構成になりやすいので主述をはっきりとさせて説明できる日本語力とが求められる。

⑦、⑧はやや難。ニーレンバーグに関連した実験問題はよく出題されるが、これらは大半がmRNAの配列を求めるだけの問題で丁寧に考えればできる。しかし今回の問題はこの実験を答えさせる問題で、大腸菌を利用したなどの細かい知識が必要だ。非常に難しい問題だ。この問題を解く上でのポイントは、ウラシルのみからなる人工mRNAを用いたことを記述していること(このじっけんがおこなわえる以前は人工的にmRNAを作成する技術がなかったので、これに触れることが生物学的、医学的に非常に重要)と作成した人工mRNAを大腸菌に注入したことが書かれていることである。

まず人工mRNAについての記述が必要なのはこの実験が行われる以前は人工的にmRNAを作成する技術がなかったので、これに触れることが生物学的、医学的に非常に重要であるからである。次に大腸菌について触れることが重要なのは、ふつう医学研究においては、作成した改変遺伝子から発現するタンパク質や人工mRNAから翻訳されるタンパク質の性質を調べるときには大腸菌を用いるからである。大腸菌が使われるのは飼育の容易性、繁殖スピードの速さ、翻訳周期の短さなどによる。大腸菌のことに関しては他の実験に関しても大いにあてはまることなのでしっかりと覚えておこう。

⑧は知識として受験生ならだれでも知っていることかもしれないが、正確に記述するのは難しい。エチレンが気体であること、理想の形成位置が枝の葉柄の基部であることは必ず触れなければいけないが、エチレンについてはついつい忘れがちだし、理想の形成位置については単語を正確に暗記しておかないとなかなかとっさには出てこないものだ。

最後に、①~⑧の問題の中で教科書、図表の暗記のみで解くことのできる記述問題もいくつかあるので、しっかりと暗記でして着実に他の受験生と差をつけたいところだ。

大問4は浸透圧変化に伴う細胞の相対堆積変化に関する問題。全体として標準~やや難。問1~3は記述問題も含まれるが、どれも典型的なものばかりである。問4もときどき見かけるが、この手の問題はすべてPV=P’V’という簡単な比例式に代入することで解くことができる。ぜひ覚えておいてほしい。

問5は答えを見ると細胞の膜系による輸送の結果と書かれておりこれで正しいが、細胞の堆積変化が浸透圧変化に遅れて現れる問題ではよく溶質の透過速度が非常に遅いというものがあるが、この問題の答えとしてこれは適当だろうか。等張になっているのに溶質が拡散により細胞膜を通して移動するとは考えにくいので答えとしては不十分であろうが、自分の知っている知識をもとに考えたり、思い浮かんだ答えの中から正しいものを選ぶ判断(この問題で言えば、等張になっているのに溶質が拡散により細胞膜を通して移動するとは考えにくい、の部分である)の練習をしておきたい。

2008年度

大問1は進化、相変異、脊椎動物の進化に関する問題。全体として易。3つの文章のうちから、2つを選ぶ穴埋め問題。どれを選んでも大差ないが、自分の得意なものを選ぶか、時間があれば全て目を通してみてからできたものを選べばよい。生物群集の範囲についての理解が進んでいないと思うなら(b)は避けるべきであろう。特筆すべきことはそれぐらいで、どの問題も暗記さえしてあれば満点がとれそうである。

大問2は様々な分野から独立した4問からなる問題。全体としてやや易~標準。

問1、2は問題文が非常に長いが、聞かれていることは至極単純で典型問題である。

問3は(ア)を選択した方が明らかに容易い。計算も楽であるし、知識レベルも高くない。問4はただの計算問題で言うことなし。

大問3は様々な分野から独立した8問の記述問題が出題されている問題。全体として標準~やや難。

①はやや難~難。答えは一見容易な内容に思えるが、錐体細胞が光を感知し色を識別するという教科書レベルの知識は知っていても、赤色光、青色光、緑色光それぞれに最もよく感じる3種類の細胞があるという図表レベルの知識をしっかりと覚えられている受験生はどれほどいるのか。もちろん、錐体細胞に関連した問題の中に赤色光、青色光、緑色光の感度のグラフが出るものがよく出題されるが、これが上に述べた図表の知識と関連していると意識して日頃から問題に取り組めているかどうか。様々なことが問われている良問だ。

②~⑥は標準問題。記述問題として出題されることが珍しい内容のものもあるが、どれも教科書レベル、図表の基礎レベルの知識で完答できる問題である。

⑦は難。答えは簡単。答えの内容は誰もが知っているシャルガフの法則を答えればよいだけである。ただ、この問題に関しては、シャルガフという人名を暗記しているかどうかが解答できるか否かの分かれ道となるという何ともシビアな問題である。受験生にとってはシャルガフはシャルガフの法則であまりにも有名といいたいところだが、おそらくシャルガフの法則という単語は知らず、DNA中の塩基組成がA=T、C=Gという事実のみを覚えている受験生が多いのではなかろうか。大阪医科大学の記述問題集合の大問では人名がカギとなる問題が1年に1問は出題されているので必ず人名も覚えておきたい。

⑧は標準だが、膵臓からはトリプシンだけでなくアミラーゼも分泌されるということも抜け目なく覚えよう。

大問4は免疫に関する問題。標準~やや難。問題のレベルは標準といいたいが、記述が多いのでやや難まで含めておいた。問3以外のすべての問題が記述問題であるがどれも典型的なもので答えやすい。教科書や図表に掲載されている実験の結果、考察の欄に必ず記載されている記述が問われているだけなので、しっかりと押さえておきたい。

 

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