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第1回 成績が上がる人ってどんな人?

こんにちは、平野です。いろいろな先生に、勉強法や受験時代に役立つお話を聞いてみようという企画を立ち上げました。

本日は、当サイトで小論文対策講座を連載し、大手予備校でも大活躍中の医学系小論文/現代文講師の安達雄大先生にインタビューをしようと思います。
お題は、「成績が向上する人はどのような人か」です。

平野 : こんにちは、今日はよろしくお願いします。だいぶ寒くなってきましたね。

安達 : そうですね~。名古屋は寒いですね。岐阜はもっと寒いですが。こちらこそよろしくお願いいたします。

平野 : 北からの季節風が吹きますからね。さて、早速ですが、今日は「成績が向上する人の要件」「成績が向上する人の勉強法」「学習方法のアドバイス」の3点についてお聞きしようと思います。
まずは「成績が向上する人の要件」についてお願いします。 同じ授業を受けても、成績が向上する人としない人がいますが、この二者には何か違いがあるのでしょうか。

安達 : そうですね、成績が向上する人というのは、自分が現在取り組んでいることと現在の問題点を言語化できている人です。

平野 : 言語化ですか。

安達 : そうです。まず、現在学んでいる内容と、勉強方法について他者にはっきりと説明できなくてはいけません。学んでいる内容については、「現代文」とか、どの科目をやっているのかという事ではなくて、何を身に付けるために何を勉強しているのかという具体的なものでなくてはいけません。勉強法については、勉強をどのような方法で進めているのかという事が具体的に説明できる必要があります。 これが、現在取り組んでいることの言語化です。

平野 : なるほど、日々、何を目標として学習をしているのかということが具体的になっていない人は多いですね。そうすると、何をやっているのか分からなくなってしまうし、毎日の学習に連続性がなくなってしまう。

安達 : そうです、ですから、はっきり「これをやっている」と言語化できないといけないのです。

平野 : 言葉にできないものはとらえられませんね。

安達 : 次に、現在の問題点を明らかにしていることです。例えば、センター試験の問題ならば時間を掛ければ点数をとれるのだが、時間が足りないので模試では得点ができない。というように、得点が何点だったかではなくて、その得点になってしまった原因や自分が抱えている問題点を明確にする必要があります

平野 : なるほど、確かに勉強方法やその目標だけでは意味がないですね。勉強というのは自分に不足している能力の向上のためにある。

安達 : そうです。ですから、問題点を明確にすること、そして、その問題点を掘り下げて対象化することが大切です。

平野 : 対象化。

安達 : なぜそのような問題点が起こっているのか。時間が足りないというのは結果であって、それを引き起こしている原因があるはずです。例えば読むのが遅いとか、設問と文章の関連性を見つけるのに時間がかかるとか。 読むのが遅いといっても、ボキャブラリーが足りないために読めていない場合もあるでしょうし、文章構造を把握できないために目の前の単語を追いかけてしまい、全体構造を把握するのに時間がかかってしまう場合もあるでしょう。 このように掘り下げていくと、課題点が明確になってくるわけです。これが対象化です。

平野 : なるほど、そこまで自己分析ができれば、対策が取れますね。

安達 : むしろ、こういう作業をやっていないのに、どうやって勉強するのか疑問です。

平野 : そうですよね。数学や化学でも、できないからと言って、いきなり問題を解き始める人がいます。でも、そういう人に欠けているのは解いた問題数ではなくて理論やそこから出てくる問題の解き方についての知識だったりするんですよね。

安達 : どの教科でも同じですね。それに、こうやって言語化すると、他者からのアドバイスを有効活用することもできます。自分の問題点がはっきりしているから、アドバイスから有益な情報をピックアップできるし、取捨選択もできます

平野 : アドバイスの真意がわかるし、振り回されないという事ですね。

安達 : そうそう。

平野 : では、逆に、こういうことができない人というのはどんな問題点を抱えているのでしょう。

安達 : そうですね、二つのタイプがありますが、一つは自分で思考することを必要としない、表層的なテクニックに依存している人です。もう一つのタイプは、他者に自分が理解できたことを説明したり、話し合ったりすることが少なかった、あるいは少ない人です。

平野 : 我々は入試問題を解くテクニックの伝道者という側面もありますよね。

安達 : ええ(笑)、ただテクニックが悪いというわけではなく、なぜそのテクニックを用いるのかが分かっていないといけないという意味なんです。テクニックを、ただこうすれば答えが出てくるという、自動で答えを出すための技術にしてしまっていると、少し複雑にされただけでどうすればよいのか分からなくなってしまうし、当然、それを発展させることもできません

平野 : なぜそのテクニックが成り立つのかというメカニズムが理解できていないといけないわけですね。

安達 : そうそう、理解できないものを振り回しても意味がないです。

平野 : そのうち自分が振り回される。

安達 : 相対運動ですね。

平野 : (笑)もう一つの方はどうでしょう。

安達 : 自分が理解できたことを他者に伝えるためには、一度自分の中で、取得した知識を整理する必要がありますよね。あるいは、他者に伝えようと努める間に整理されていきます。これが重要で、過去に得た知識と新たに得た知識の融合も同時になされていきます。つまり、知識の体系化がなされるわけです。

平野 : なるほど、誰かに話をするときには、言葉は悪いですが、つじつまを合わせていくから、その間にわからないところが見つかったり、今までの知識とつながっていくという事ですね。

安達 : それから、他者からの意見も重要で、それによって一人では思いつかなかったような方向からのアプローチをすることができるようになります

平野 : 視点を複数持つことができるわけですね。

安達 : いろいろな角度から、ものごとを眺めるのは大切です。そうやって深めた知識は揺るがないものです。

平野 : なるほど、しかし、不幸にしてそういう機会を得られないと、浮上できないということになってしまいますね。極端に言うと、学校には自分以外に大学受験をする人がいないような環境にいたりすると、その環境によって将来が制限されてしまう。

安達 : 確かにそうですが、会話する相手は人間でなくてもよいと思っています。

平野 : というと。

安達 : たとえば本です。同じテーマについて書かれている複数の本を読み比べることによって、視点を複数持つことは可能です。こちらの本にはこう書いてあるが、あちらにはこう書いてある。共通点は何か、相違点は何かと考えることによって複数の視点を持つことができるようになります。

平野 : なるほど。本の向こう側の著者との対話という事ですね。相手が人間以外にも広げられるという考え方であれば、小論文なども良いトレーニングといえそうですね。自分の考えをまとめて、論理的に相手に伝えるという能力を身に付けることができる。

安達 : 小論文はいいトレーニングになると思います。ただ、小論文も書くだけではなく、目的をもって書くことが大切です。

平野 : 詳しくは小論文講座へ(笑)今回は長くなりましたのでこのあたりで。
次回は「成績が向上する人の勉強法」について、よろしくお願いいたします。

安達 : ありがとうございました。

 

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