合格体験記 名古屋大学医学部医学科 木村友哉君③
さて、現役時代の章で述べなかった英語、国語、社会について順番に述べていこうと思う。
まず英語についてである。まず英語において欠かせないのが、英単語である。英単語は、ターゲット1900やシステム英単語、速読英単語など様々な物が出ているが、正直な所2000語くらい載っていれば、選ぶのはどれでも良いと思う。ただし、その使い方について少し注意点がある。
まず、買うのはどれか1冊で十分である。何冊もやる必要は全く無い。その代わり、その1冊をボロボロになるまで使って欲しい。英単語を勉強する際には、1日10個をやる、などではなく、1日50~100個を例えば一週間単位で何周もやって欲しい。しかしこれは勉強量を5~10倍にしろ、という意味ではない。1,2回書くだけ、心の中で3回復唱するだけ、などさらっと流す程度で、という意味である。これは、人間の記憶の仕組みによるもので、長期記憶分野に記憶を入れるためには、短期記憶分野に「何回も」入れる、という作業が必要なためである。私は駿台まで電車で通っていたので、行き帰りの電車の中では必ず英単語帳を読むと決めていた。
次に長文についてだが、これははっきり言って理屈でなく修練を積まなければ解けるようになるものではない。特に読む速さについては練習以外の何物でも無いと思う。なので、1日1個でもいいから、長文の文章題を解いてほしい。この点では速読英単語は単語と同時に70個の英文が読めるので、私は実はこれを愛用していた。文法は、特にセンター試験で出題されるが、センター型の問題が大量に載った問題集がいくつか売っているので、それをやると良いと思う。
次に国語についてである。理系の場合、多くの学生が、国語が必要なのはセンター試験のみで、そしてそのセンター試験に大打撃を受けている。私も上にも書いた通り国語は大の苦手で、現役のセンター試験では国語に殺されてしまった。しかし、先に言っておくと、私の浪人時のセンター国語の得点は188点/200点だった。私がどのように勉強したか、記せるだけ記そうと思う。
まず問題集についてだが、古典単語はゴロ565、古典文法は、Z会の古文上達、という問題集、漢文の句型は何でも良い (私は塾のテキスト)、そして現代文は毎年夏ごろに出るセンター試験の過去問、である。
センター国語は評論、小説、古文、漢文の4問で構成され、試験時間は80分である。実際に解いてみるとわかるが、まず時間が足りないだろう。この部分にも後で触れる。まず話しておきたい事は、なぜセンター試験で多くの学生がやられてしまうか。それは、「所詮日本語だから何とかなる」と思っているからである。センター試験の問題作成者はそのような浅薄な考えはお見通しで、そういった学生をバッサバッサと斬り捨てる問題を作ってくるのである。従って、特に国語が苦手な方は、必ず勉強して臨んで欲しい。そして勉強とは、一言で言えば「本文に書き込む」という事である。国語が苦手ならば、本文をぼーっと読んではいけない。接続詞に記号をつけたり、指示代名詞を追いかけて線を引いたり(詳しい線の引き方については、一度大手の塾で夏期講習などを取って練習すると良いだろう。私は駿台時代に教えて頂いた。)、読みながらとにかく書き込み続ける、という作業が必要なのである。
また、特に古典は、文法、単語、漢文は句型を完璧にしてから、長文で演習を重ねるとよい。なぜ古典文法や句型を勉強しなければならないのか、それはそれらが無いと文章が読めないからである。これらを練習した後に、過去問で演習すると良いだろう。過去問で、どのような問題が出るか、問題の作り方はどうなっているのか、ハズレの選択肢はどのようにできているか、どこに目をつけていれば正解に辿り着けるのか、などを徹底的に研究する。それと同時に、ただでさえ時間の足りない量の問題を、大量に線を引きながら、しかし内容もある程度掴みながら時間内に問題まで解ききる、という訓練も大量にこなしていく、とい った徹底的な練習が必要である。
実際にやってみるとわかるが、これが途方もなく大変だった。国語が苦手なのだから仕方がないだろうが、ともあれそれでも国語が致命的に苦手でもやればできるのだ、という事がわかった。ちなみに、なぜセンター試験の過去問だけなのかというと、私が実際にやっていて感じた事がだが、模試や予想問題は一見同じような問題に見えても問題の作りがかなり粗いという印象を受けたためである。その点では本番は流石で、きちんとやれば取れる、というのを実感させてくれるような作りになっている。ともあれ、私は国語が本当に苦手なため国語だけに1ヶ月半程費やしてしまった。しかしそれだけに得たものは大きかったと思う。
最後に、ここまで読んで頂いた方々にはすでにおわかりだと思うが、勉強とは決して何時間も机に向かって何かしていれば勝手にできるようになるものではないのである。どうすれば自分の成績が上がるのか、今の自分に何が足りないのか、などをきちんと考えて、プランを立て、万全の状態で受験当日に臨めるようにして欲しいと思う。