Vol.5 新課程入学試験における数学・理科の出題範囲
(7月8日現在)
2015年度入学試験から、新課程入学試験が開始されます。新課程入学試験で大きな影響があるのは数学と理科で、数学は行列がなくなり、複素数平面とデータの分析、統計的処理が新たに範囲に加わりました。理科はI・IIという分類から、基礎科目と専門科目の2本立てとなりました。
2015年度入学試験は、各大学とも旧課程履修者への配慮をしており、そのため、旧課程より試験範囲が限定される大学もあります。
(1) 旧課程と新課程の共通範囲から出題する大学
- 獨協医科大学
- 杏林大学(化学・生物)
- 日本大学
- 愛知医科大学
- 藤田保健衛生大学
- 金沢医科大学
- 兵庫医科大学
- 大阪医科大学 前期・後期
- 関西医科大学 前期・後期
- 川崎医科大学
これらの大学では、旧課程と新課程の共通範囲に限定すると明示しています。
そのため、数学は期待値がと行列が出題できないということになります。化学や生物に関しては、I・IIと基礎科目・専門科目では内容の順番が組み替えられただけですのでほとんど変化がないと考えてよいと思います。生物は新課程に入って大幅に難化しましたので、新課程の生物履修者にとっては他大学よりチャンスが多いかもしれません。
これらの大学では、数学の期待値と行列を除いたものについて過去問演習をすることが有効な学習方法であると考えられます。
ただし、少し注意しなくてはいけないのが杏林大学の数学です。杏林大学の出題範囲を募集要項で見ると、次のようになっています。
数学I:データの分析を除く
数学III:複素数平面を除く
数学B:確率分布と統計的な推測を除く
条件付き確率やユークリッドの互除法などの整数問題も出題範囲に入っています。杏林大学は理学部もあり、数学のスタッフもそろっているはずですから、医療系単科大学では出しにくい整数問題も出題してくる可能性はあります。
青チャートレベルでよいので、しっかりと演習しておくことが大切です。
(2) 出題範囲に一定の配慮をする大学
- 埼玉医科大学 前期・後期
- 東京医科大学
- 順天堂大学
- 北里大学
- 福岡大学
- 久留米大学
これらの大学では「旧課程履修者にも配慮する」「旧課程履修者に不利にならないよう配慮する」という表現がとられています。
この表現の意味は2通り考えられて、1つは①の大学と同様に、共通範囲からの出題という意味、もう1つは旧課程履修者が選択できる選択問題を用意するという意味です。
ただし、後者の場合は、旧課程履修者と新課程履修者の学習範囲に不公平が出る(旧課程履修者は行列や期待値を学習しなくてよくなるが、新課程履修者は条件付き確率や複素数平面を学習しなくていはいけない)という問題があり、しかも、選択問題の間で平均点に差が出た場合の調整をしなくてはいけない可能性があります。
また、単科大学でリソースの比較的少ない埼玉医科大学や東京医科大学などは選択問題ではなく、共通範囲からの出題である可能性が高いですが、断定はできません。
ですので、これらの大学を志望する場合は、旧課程履修者は行列・期待値を除いた範囲の学習を、新課程履修者は旧課程との共通範囲を優先して、余裕があれば複素数平面、条件付き確率、ユークリッドの互除法などを学習しておくとよいでしょう。
(3) 配慮しないと明示している大学
- 東京慈恵会医科大学
東京慈恵会医科大学は、HPに旧課程履修者への配慮をしない。と明示しています。ですから、この大学を受験する場合は、旧課程履修者であっても新課程の範囲を学習しておく必要があります。
2014年7月8日現在、岩手医科大学、聖マリアンナ医科大学、昭和大学、東海大学、日本医科大学、東邦大学、東京女子医科大学、近畿大学では移行期間での配慮についての情報が出ていません。