「医学部は、いざ面接に入ったらどのような心構えが大事ですか」という趣旨の質問を受けます。
10分、20分、あるいは30分、大変長く感じられる時間をどうやって乗り切るか。これまで、面接に関していろいろお話してきましたが、本番になれば、ほとんどの人はもうあれこれ考える余裕などありません。私はこう考えるということを簡潔にお話しますので少しでも参考になれば幸いです。

アドレナリンを吐き出して

まず緊張を解くことが大事です。緊張しているときはたくさんのノルアドレナリンが血中を走りまわっているそうです。これを抑えるためにとりあえずできることは深呼吸です。面接室のドアをノックする前に、大きく息を吸って思い切り吐き出してください。そして、小さな声でいいので「よしっ」と気合を入れてください。自分に気合を入れることは案外効果があるものです。

渡辺弥千雄

面接者と気軽に会話を

面接は会話することだと思ってください。友人との会話で何か聞かれたら思ったことを気取ることなく話しますよね。その感覚で結構です。違いは何かといえば、語尾が「・・・です」「・・・ます」で終わることです。質問が始まる前に、「気楽に、気楽に」と自分に言い聞かせて、難しいことを考えず質問に答えていってください。その場で面接者と言葉のやり取りができるようになったら、しめたものです。自分を理解され始めたと思ってください。

しっかり伝えるという意識を持って

会話で大切なことは、自分の思うこと、考えることを相手に理解してもらうことです。そのためには、淡々と話をするのではなくしっかり思いを伝えるという意識をしてください。ある意味、面接はこれに尽きるといってもよいでしょう。上手く話をすることより、一生懸命思いを伝えようとする姿勢が評価は高いと思います。

前の質疑応答を引きずらない

「前の質問に思うように答えられなかった」、「何か変なことを話したかもしれない」、その後悔はモチベーションを下げることにもなりかねません。面接は総合評価ですから、たった一つの質問で評価が落ちてしまうなどということはありません。

すぐ次からの質問が飛んできますので、前のことを考えている暇はありません。自分を見失わず、気持ちを切り替えて新たな質問に向かっていきましょう。

圧迫面接にひるまない

時々耳にする「圧迫面接」。二種類あります。一つはこれまでお話してきたように、中身を知らないのに言葉面だけ捉えて立派な答えだと思って話した結果それに関連した質問が次々とあって、答えに窮して「圧迫」を感じたというもの。これが結構多い印象があります。もう一つは面接者の試しで、この人間は厳しい質問をするとどんな対応をしてくるのかと考えたケース。しどろもどろになるのか、キレてしまうのか、それとも毅然として答えてくるのか見てみたいというもの。

いずれも、ひるんだら負けです。キレても負け。一次試験を突破して、面接をしにわざわざ来たんです。おめおめ、こんなことで負けて帰ってなるものか。

開き直ろう

ここまで来たら、あれこれ考えない。「私は良くも悪くも、こういう人間です。しっかり見て評価してください。」ぐらいの開き直りの精神で堂々と面接に向き合ってください。「煮るなり焼くなり、お好きにどうぞ」とまでは言いませんが。