大学独自の奨学金
どの大学にも奨学金制度が整っていますが、大学独自の奨学金は、成績優秀者に対する特待制度や報奨金、あるいは保護者に深刻な問題が発生した場合の一時金などが多く、いずれも最初から当てにするようなものではありません。また、金額も私立大学医学部の学費をまかなえるほどの莫大なものはほとんどありません。
ただし、自治医科大学と産業医科大学と防衛医科大学は別です。自治医科大学では学費から寮費・食費に至るまで全てが自治体からの奨学金でまかなわれており、学生は費用の負担を全くすることなく通学する事ができます。
産業医科大学でも基本的に全員が奨学金を貸与されます。自治医科大学と異なるのは、学費は一部自己負担となるところで、6年間で1130万円が自己負担額となります。これは1ヶ月当たりにすると157,000円となり、最も安い私立大学医学部の順天堂大学の学費の約半分です。
自治医科大学・産業医科大学の奨学金は、名目上は貸与ですが、卒業後、自治医科大学では自治体の定める医療機関で医師として、産業医科大学では産業医として9年間勤務する事により返済を免除されます。
ただし、9年が経過する以前に医師として働く事ができなくなったり、定められた医療機関以外に移籍すると、残った期間に応じた額を一括返済する義務があります。
防衛医科大学は大学生としての採用ではなく、防衛省職員としての採用になるため、全寮制で月額108,300円の給与が支給されるほか、6月と12月には賞与が支給されます。ただし、防衛医科大学では産業医科大学や自治医科大学と同様に、卒業後9年間は自衛隊で勤務しなくてはなりません。自衛隊での勤務を拒否する場合は、それまでに掛かった学費等約4100万円を一括で償還しなくてはいけません。