Do Series 鎌田の有機化学の講義
- 出版社
- 旺文社
- 種類
- 参考書・講義調
- 著者
- 鎌田真彰
- 難易度
- 有機化学の講義 入試基本~入試標準レベル
311ページ・88問・別冊39ページ
書評
構造決定を中心とした有機化学の参考書。教科書レベルの有機化学の知識がしっかり暗記できている人向けで、教科書巻末に載っている系統表と、そこに出てくる物質の性質と化学反応式が覚えられている程度の基礎知識がないと読み進めるのが難しい。
基礎知識さえあれば、構造決定の方法を、基本である炭化水素の異性体の数の数え方から丁寧に説明してあり、ややマニアックな知識や反応機構も載っているため、有機化学の応用力を大きく向上させることができる。
本書は、旧課程の「鎌田真彰の化学 有機化学」の改訂版であるが、旧課程でもレベルの高さから、その前段階にどの本を持ってくるかで頭を悩ませたが、同シリーズのエントリー書として、「Do Startシリーズ 橋爪のゼロから劇的にわかる有機・無機化学の授業」が出版されたことにより、化学をゼロから学びたい人や苦手な人が、基本から始めて難易度の高い化学の問題を解くレベルに到達するための道筋が完成した。
本書の到達点は、私立大学医学部・地方国立大学医学部の入試問題に頻出する構造決定問題を解くために必要な手法をマスターするレベルである。
トピックス的に、マルコフニコフ則など、高校内容を逸脱しているが入試に出題されたことのあるようなものも含まれている。
医学部で比較的出題されやすいペプチドの構造決定、糖の構造などの問題も収録されているなど、医学部受験生にとっては持っていて損のない一冊と言える。
類書に河合出版の「有機化学速習パワーアップ講義」がある。
問題は難易度の高いものも含まれており、本書をマスターすれば入試問題の解き方が見えてくるはずである。本書をクリアしたら「セミナー化学」や「重要問題集」などの入試問題や過去問題に取り組み、実践力を高めると良い。
目次
第1章:有機化学の基礎
- 01:有機化合物の分類と分析/02:有機化合物の構造と異性体
第2章:脂肪族化合物
- 03:アルカン/04:アルケン/05:アルキン/06:アルコール/07:カルボニル化合物/08:カルボン酸/09:エステルとアミド
第3章:芳香族化合物
- 10:ベンゼン/11:ベンゼンの置換反応/12:芳香族炭化水素とその誘導体/13:フェノール類とその誘導体/14:アニリンとその誘導体
第4章:天然有機化合物と合成高分子化合物
- 15:アミノ酸とたんぱく質/16:糖/17:油脂/18:核酸/19:合成高分子