この章では原核細胞と真核細胞の特徴と違いについて学んでいきます。そのつど簡単な画像を入れてイメージを膨らませやすいように説明していきます。

原核細胞と真核細胞の説明に入る前に、そもそも細胞とは何かを簡単に一言で表しますと、「エネルギーを使って活動したり、自分で殖えたりする、膜で囲まれた構造」のことです。様々な生き物は細胞を基本として成り立っていますが、細胞じたいも生き物のような働きをしているわけです。

ところで、一口に細胞と言っても、様々な種類のものがあります。それらを種類分けするときにはいろいろな基準があるのですが、今回学ぶ原核細胞と真核細胞の種類分けは非常に簡単な基準から分けられています。ポイントは「核を持つか持たないか」です。このポイントによって原核細胞と真核細胞は以下のように定義されます。

原核細胞:核を持つ⇔真核細胞:核を持たない

非常に単純明快な定義ですね。続けてこの違いを画像で示してみます。

原核細胞(左)と真核細胞(右)の模式図

図1:原核細胞(左)と真核細胞(右)の模式図(※細胞内小器官は省略してあり、細胞膜と細胞壁の違いなども描出していません。)

画像で示せば一目瞭然です。さきほど核を持つか持たないかがポイントだと解説しましたが、ここでいう核とは「核膜を核膜に包まれた中のもの」を指します。核膜とは、名前の通り核を形作る膜のことです。ですから、ぱっと見たところの違いは核膜の有無になります。したがって、核を持つか持たないかではなく、核膜に包まれた核を持つか持たないかと書いたほうがより厳密で良いでしょう。以上のことをまとめると下のようになります。

原核細胞:核膜に包まれた核を持つ⇔真核細胞:核膜に包まれた核を持たない

ここでひとつ注意していただきたいのは、核の有無は異なりますが、染色体はどちらにもある点です。あとの章で解説しますが、染色体はDNAを含んでいて子孫を残すのに必要です。ですから染色体は原核細胞と真核細胞の両方に含まれているわけです。

また、図には真核細胞の方が原核細胞よりも大きく描かれています。これは真核細胞の方が原核細胞よりも大きいことを示しています。(一部の例外を除くほとんどの場合)こういった大きさを押さえておくとイメージしやすいのではないでしょうか。

ここまでで原核細胞と真核細胞の定義について簡単にまとめてきましたから、次の章ではもう少し詳しく見てみましょう。