大学への数学微積分・基礎の極意
- 出版社
- 東京出版
- 種類
- 参考書・教科書調
- 著者
- 栗田哲也・福田邦彦・坪田三千雄
- 難易度
- 教科書章末問題~入試標準問題
書評
平成12年刊行の、古い本であるが、微積分自体それほど出題傾向が変わらない事やこの本が微積分の全範囲を網羅していることから、2015年現在でも十分機能する。この上級書として解法の探求があるが、どの大学の入試問題もこの本の内容で十分解ける。
基礎の極意、と言う言葉は少しミスマッチで、最初の計算問題からかなり難しいものが並ぶ。黄チャートくらいができる、と言う程度では厳しい。「1対1対応の演習」や「標準問題精講」が大体できる人が対象になるだろう。
第一部は極限~積分の計算力チェック。とはいえ、十分大学入試の問題として機能する計算問題ばかりなので注意が必要だ。
第二部はこの本のメインで、極限から積分までの様々なポイントが全部で199個提示されている。ニュートン法や解けない漸化式のグラフ的解法など、微積分の手法を1通りマスターしている人でも、実は単にやり方を覚えていたにすぎないような問題の理論が満載で、この部分だけでも大幅に解答能力を高めてくれる。
第三部は有名問題や典型問題の理論の解明で、良く出てくる問題のパターンについて、ひとつひとつ詳しく解説されている。これも、単に解ければよい、という解説ではなく、なぜそういう風に解くのか、という分析がされている。
第二部と第三部の間にあるキーポイントマスターも面白く、入試問題を解くのに役立つトピックスなので読んでおくとよいだろう。
解説は全体的に簡潔なので、そこから読み取ったことを頭の中で再構築して暗記するところまで持っていくのには少し手間がかかる。一度つっかえると相当時間を取られる。基礎とあるが、それなりにレベルの高い本なので、この本をやるときは塾や家庭教師の先生に相談したり、質問できるような環境を作っておくとよいだろう。(これ、大数の参考書全部にいえること。)
目次
- 第一部:計算力のチェック
- 第二部:手筋、常識、落とし穴 キーポイントマスター
- 第三部:有名問題、典型問題の解明