はじめに

医学部受験予備校COSMOS(コスモス)数学科の”山K”です。
小学生の子どもが夏休みになって、一緒に遊ぶことが多くなりました。成長したら遊ぶこともなくなるでしょうから、貴重な時間だと思っています。

連載5回目のこの記事のテーマは「6ヶ月後に私立大学医学部を受験するみなさんへ、穴になっているところへの対応の仕方」です。

穴になっているところをそのままにしておくと、取り返しがつかないことになります。早めに対応しておきましょう。

“穴”とは何か

まず、穴について少しお話しておきましょう。

「”穴”があるから埋めておきましょう」という指導をされたことがある受験生は多いと思いますが、”穴”とは何か、理解していますか?

「“穴”って苦手な分野のことでしょう?」
「僕はベクトルが穴になっているんですよね。いつも点数取れないし。」

うーん、ちょっとそれでは満点はあげられないなあ。

わかりやすい”穴”とわかりにくい”穴”

もちろん、特定の分野が”穴”だ、というケースはあると思います。
先程の生徒のように、ベクトルが穴、というケースですね。

テストをすれば、明らかにその分野の点数が低く、誰に言われるまでもなく、受験生本人がここは穴だなあ、と分かっている場合です。

これは言ってみれば、穴の中でもわかりやすい”穴”、とても大きな”大穴”とでも呼ぶべきものです。

しかし、我々指導する側が”穴”という場合、違う意味で使っているケースもあるのです。

それは、わかりにくい”穴”です。

本人は気づいていない”穴”がある

一通り勉強して成績も伸びてきた。教科書レベルの問題だけでなく、入試問題も結構解けるようになってきたぞ・・・。

順調に伸びているかに見える、そんな生徒に、びっくりするような”穴”が見つかる場合があるのです。

例えば、偏差値が60近くに伸びてきた生徒がいるとしましょう。

そこまでいくには、ある程度のレベルの問題を、それなりに解いてきているはずです。

我々指導する側も、「このあたりの問題はだいたい解けるようだ。より成績を伸ばすために、そろそろ次のステップの問題を使って鍛えていこうかな・・・」そう考えたりします。

そんな生徒が間違えた問題をチェックしていくと、ごくごく初歩の、教科書レベルの内容を知らなかったり、あるいは勘違いしていた、というケースがあるのです。

これは”大穴”とは違い、本人がわかっていないケースもあります。それどころか、担当する先生が見逃している場合もあります。

そんな”穴”があることに気づかずに本番の試験を迎えてしまったら・・・恐ろしい想像ですね。

では、穴に対してはどのように対応すればいいのでしょうか。

2種類の穴があることがわかりましたので、対応も2通りあります。

わかりやすい”穴”には、「スケジュール管理」と「習うより慣れろ」

まずわかりやすい”大穴”について。
これは、”苦手な分野・苦手な問題”とほぼ同義語です。

苦手な分野は、結局演習量の不足が主な原因です。苦手なところはなかなか解けないので、やる気も出ない、結局やらない、となってしまうのです。心当たりはありませんか?

まずはスケジュールの中に、苦手な分野を勉強する時間を入れ込みましょう。気が向いたらやる、では、苦手な分野が後回しになります。

そして勉強するときは、モチベーションが下がらないように工夫しましょう。苦手な分野は、知識が不足して解けないことも多いので、いきなり入試問題を解いて30分も1時間も考える、というのは非効率的です。

むしろ、問題を少し考えたら積極的に解答を見て、解法の流れを知ることに徹しましょう。そのあと、ほぼ同じ手法の問題を、今度はもう少し時間をかけて考える、というやり方が効果的です。

まずは習うより慣れろ。

真似でいいので、問題を解く流れを体験していきましょう。

これを続けていれば、自ずと大穴が小さくなっていくことでしょう。

わかりにくい”穴”には「流し読み」と「志望校対策から離れること」

つぎに、わかりにくい穴について。
こちらは、発見することそのものが対応となります。

まずは、チャートなどの網羅系問題集を”流し読み”しましょう。

網羅系問題集には大抵の問題が載っています。

問題を見てすぐに解法が思いつくものであればOK。次の問題に。しかし、中には「あれ?これどうやって解くんだっけ?」となってしまう問題があるかもしれません。

その問題はしっかり解いてみましょう。穴である可能性は高いです。

もしあなたが、分厚い問題集が苦手だったり、「穴はこの分野にありそうだ」と見当をつけているのであれば、分野別の問題集を利用するのもおすすめです。

薄くても、特定の分野のみについて書かれているので、やはりその分野については詳しく載っています。

また、志望校の対策から離れて、これまでやってきた問題とはやや違う傾向の問題をやってみるのも効果的です。

これまでその穴が放置されていたということは、勉強してきた問題に、たまたま含まれていなかったのかもしれません。それはもしかしたら、志望校の問題傾向が偏っているせいかもしれません。

志望校対策から離れて、幅広い問題を解いてみましょう。

最後に

今回の記事では、”穴”について書きました。
自分では気づかない”穴”が放置されると大変です。
早めに発見しておきましょう。
なお、受験のプロに、ある程度の期間指導してもらうことも効果的です。

<今週のK-Word>

自分の弱点は、自分では気づきにくく、受け入れがたい。
しかし弱点は、自覚し、受け入れたときには、ほぼ克服できている。

【情報提供】
医学部受験予備校 COSMOS(コスモス)