①複数の資料を正確に読んで理解し、比較し、関連づけて考察する力(=精査・解釈する力)を養成すること

今回発表されたモデル問題では、複数の資料が提示されています。それぞれの資料を正確に読み、書かれていることを正確に理解しなければなりません。そして、それらの資料にどのような関連があるのかを読み取る練習が必要です。

とはいえ、レベル自体は決して難しいものではありません。共通点や相違点を見抜いて比較検討する練習や、論理的に考える訓練を行い、論理的な矛盾を見つけて正す力を身につけることで対応することができます。

②複数の条件を正確に理解し、その条件にしたがって考える力を養成すること

モデル問題の記述問題は一般的な記述問題よりも指定が多いという特徴があります。つまり、解答作成のヒントがたくさんあるということです。これは、一見、問題レベルを下げているように感じられますが、ここに落とし穴があります。

実はこの設問文にある指定をすべて理解する力のない生徒は非常に多いのです。設問文で何が問われているのか、設問文から資料や文章中のどの情報が必要でどの情報が不要なのか、設問文の意図は何かなどを正確に理解できないのです。

そして、必要な条件が多くなるほど、条件を落としたり、そもそも何が問われているのかを捉えらなくなってしまったりすることがあるのです。

また、求められていない内容を勝手に付け加えてしまう生徒もいます。たとえば、彼らは「どう考えられるか」という問いを「同様の状況のとき自分ならどう考えるか」と曲解して文脈や指定を無視して考えてしまい、その結果、解答に必要な条件を落としてしまうのです。

ですから、問われていることと条件をすべて押さえ、必要な項目だけを的確に抽出してその条件を正確に理解したうえで解答を考える練習が必要となります。

③正確な記述力と表現力を養成すること

問われていることと条件を正確に理解して、条件すべてを満たし、かつ不要な要素を排除した解答を作る訓練が必要です。

さらに、設問文の指定に沿って集めた情報を自分の言葉で記述し、かつ誰が読んでも正確に理解できるように表現する力と論理的に正しい文を書く力が必要となります。まずは、主語・述語の対応が正しい文を書けるようにすること、適切な位置に修飾語を置いた文を書けるようにすることを目指しましょう。また、自分の考えを自分の言葉で正しく伝えることができるようにしましょう。何が言いたいのか伝わらない文では意味がありません。日常の会話で、語順に注意する、単語での会話を避ける、誰がどうしたのか・何がどうなったのかを明確にする、といったことを意識するだけでも力はつきます。