海外大学医学部に進学するメリットは、3つあります。1つは、日本の私立大学医学部は倍率が30倍を超える大学があり、偏差値が65以上、また、国公立大学医学部ではセンター試験が85%以上でなければ合格圏内にすら入れないなど、過熱する日本国内の医学部受験を回避することができること。もう1つは英語で医療を学ぶことができ、高い語学の能力を獲得できること、EUの免許を得られることと、同時に日本の医師国家試験受験資格が得られること。最後の1つは自分と異なるバックグランドを持つ同年代の若者と学生生活を送ることによって異文化に対する理解を得られることです。

1つめのメリット、難易度について。日本では、長く続く医学部人気と、1970年代後半の医学部新設ラッシュによる医師数の急増がもたらした「医師の子弟」の増加によって、近年、医学部の人気が高まり、特に私立大学医学部は偏差値が急騰しました。2015年になって志願者数が頭打ちとなったとはいえ、私立大学医学部では倍率が30倍を超える大学もあり、国公立大学医学部ではセンター試験の得点率が85%以上でなければ合格を勝ち取れないなど、医学部人気が過熱しています。

こうした中、医師としての適性がありながら、受験勉強に不適であるために、医師への道を絶たれる学生が多く存在しています。海外大学医学部(ハンガリーおよびチェコ国立大学)は、おおむね偏差値55程度で合格することができるため、こうした、日本の受験勉強に適応できなかった人に開かれた医師への道なのです。

2つめのメリット、英語で医療を学ぶべきこと、日本の医師国家試験受験資格が得られることについて。ハンガリー国立大学、チェコ国立大学は、卒業試験に合格すると同時に、EU28か国で使用することができるEUの医師免許が交付されます。また、帰国後、厚生労働省に申請をすれば日本の医師国家試験を受験することができます。当然、医学部卒業資格はアメリカ、カナダでも通用し、将来、これらの国に留学する際に利用することができます。

また、ハンガリー国立大学、チェコ国立マサリク大学ともに授業はすべて英語で行うため、非常に高い英語力を得ることができます。今後、既存の留学というキャリアに加えて、病院の国外進出や国内への医療ツアーの誘致などによる新しいキャリアが生まれてくることが考えられます。このような中で、医師であっても英語力が問われる時代が来ると思われますが、海外大学医学部で学ぶことで、医療の現場で使える英語力を養うことができ、そうした時代に備えることができます。

海外大学医学部での医学教育は、母国語でない言語での教育であることから、慣れるまでにかなり時間を要するというデメリットもあります。

しかし、英語、ハンガリー語またはチェコ語の教育は医学部に入学する前に実施される予備コースでしっかりと教育を受けることができ、医師になりたいという強い希望を持つ人であれば、ハンディを克服することは可能です。

3つめのメリット、様々なバックグラウンドを持つ同年代の若者と過ごすことについて。ハンガリー国立大学、チェコ国立マサリク大学では、その歴史上、非常に多くの留学生を受け入れてきました。現在も多くの国からの留学生を受け入れています。

ハンガリー国立大学、チェコ国立大学の医学部英語プログラムは、ハンガリー人、チェコ人以外の海外からの留学生向けのプログラムです。そのため、自分とは異なる、しかも多彩なバックグランドを持つ同年代の若者と机を並べて学ぶことになり、異なる文化への理解の方法など、視野を広げることができます。

また、日本からもハンガリー医科大学事務局からハンガリー国立大学(センメルワイス大学、デブレツェン大学、ペーチ大学、セゲド大学)へ約300名、チェコ医科大学事務局からチェコ国立マサリク大学へ約40名が留学しているなど、日本人も多く留学しています。

日本の医学部と海外大学医学部の比較

  海外大学医学部 日本の医学部
難易度 偏差値55以上
英語:高校卒業程度
偏差値65以上
学費 ハンガリー国立大学:250~300万円 /年
(生活費を含む)
チェコ国立マサリク大学:約200万円 / 年
(生活費を含む)
私立大学医学部:1850~4550万円
(学費のみ)
国公立大学医学部:約55万円 / 年
(学費のみ)
語学 英語、ハンガリー語またはチェコ語 日本語
資格 EUの医師免許
日本の医師国家試験受験資格
日本の医師国家試験受験資格
その他 多くの国から留学してきた学生と交流し、視野を広げることができる。 日本語での教育であり、スムーズに教育を受けることができる。