2016年度 河合塾 第一回全統記述模試(物理)に向けて
※著作権の問題があるため、問題そのものは公開しておりません。あくまでも「勉強の指針」として活用してください。
はじめに
高校三年生、浪人生向けの河合塾の全国統一記述模試は、5月、9月、11月の計3回実施されます。範囲、内容ともに徐々に難易度が高くなって行き、11月の第三回記述模試ではかなりの難易度の問題も出題されます。
河合塾の模擬試験は、駿台や代ゼミの模試と比較して標準的な問題を多く出題することから、現在の実力を測るのにちょうどよいでしょう。ただ、標準的であるがゆえに、独特の出題形式をとる私立大学医学部の合格・不合格の判定には十分な精度があるとは言えません。国公立大学の判定には適しているでしょう。
ですから、私立大学受験者は、あくまでも、「現在の数学の実力」と「不得意分野」がわかるという程度の認識にしておくのが良いでしょう。高い偏差値をとることができた人も、そうでなかった人も、できなかった分野をしっかりと復習し、過去問が解けるように練習をすることが大切です。
模擬試験は入学試験と異なり、点数の差をつけたり、受験生をふるい落としたりする意図のものではありません。それぞれの時期に、どの程度まで理解していればよいかを判定する(受験生のために)ための試験です。
したがって、毎年、似たような出題、似たような問題のセットになりがちです。(特に、数学や理科)
そのため、ある程度、予想をして対策をすることができます。
しかし、繰り返しになりますが、模試はその時の実力を測定するものであって、点数を競うものではありません。この点を間違えてしまうと、誤った模試の受け方、誤った模試の見直しの仕方となってしまいます。
2015年度 河合塾 全統記述模試(物理)の出題
問題 | 出題内容 | |
---|---|---|
第一問 | 問1 | エネルギー保存則、斜方投射 |
問2 | 摩擦力が働く場合のエネルギー保存則 二物体のエネルギー保存の問題 | |
第二問 | 問1~3 | 気柱の共鳴、開口端補正を考える問題 |
第三問 | 問1~5 | 2つの小球に高さの差をつけて自由落下させ、空中で衝突させる。 |
第一問
- 問1
- 振り子の糸が途中で切れ、小球が放物運動する問題。教科書レベル
- 問2
- 振り子につながれた、摩擦のある台上の小物体が、振り子によって引きずられるという問題。類問を解き、エネルギー保存則をきちんと理解していないと解くことができないと思われる。
第二問
- 問1~3
- 一方を閉じられた気柱の共鳴を、開口端補正を用いて考える問題。前半は気柱の共鳴について、どの点が粗密の変動が最も激しいかなどの基本を問う問題で、後半は気柱の長さを変化させて、気柱内に生じる定常波の節の数を求めさせる問題、一定の長さの開管を用意してスピーカーから出る音の周波数を変化させ、最も大きな音が聞こえる周波数を求める問題。
第三問
- 問1~5
- 高度差を付けて2球を自由落下し、先に地面に到達したほうが反発してきたところに、もう1つの球が衝突するという問題。自由落下、鉛直投げ上げ、物体と床の衝突における運動量保存則、2物体の衝突における運動量保存則を駆使しなくてはいけない。また、反発係数も理解していないといけないなど、力学の中でも比較的難易度の高い問題で、2問めから運動量保存則が出てくることから、5月の時点でこの単元まで進んでいない人は、この問題を丸ごと落とすことになっただろう。
第一回記述模擬試験の対策として、どのような勉強をするべきか
力学、波動の2単元からの出題となる。力学は円運動以降は出題されないと考えられるので、等加速度運動、鉛直投げあげ、水平投射、斜方投射、力のつり合い、運動方程式、エネルギー保存則、運動量保存則まではマスターしておきたいところです。
問題のレベルは比較的高いようです。セミナーの発展問題がしっかり解ける(きちんと考えて解き、納得できるまで問題の解答・解説を考えて、やり直しをしてある状態)にしておかなくてはいけません。
単元としては、エネルギー保存則、運動量保存則、斜方投射、水平投射、鉛直投げあげなどをマスターしておきましょう。2物体が絡む問題も意図的に出されていますので、相対運動なども勉強しておくとよいでしょう。
波動は、波の式、縦波と横波、定常波、音波(ドップラー効果、気柱の共鳴)光波(干渉の問題:【ヤングの実験・回折格子・ニュートンリング・くさび形薄膜・薄膜】光速の測定【フィゾーの実験、フーコーの実験】屈折【プリズム、全反射、光ファイバー】)、などが代表的な問題ですが、出題はこの全範囲ですので、ここに挙げた問題は、すべてあたっておいたほうがよいでしょう。