国際医療福祉大学 数学 過去問解析
分析表
科目(新課程に準ずる) | 2017 | |
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数学Ⅰ | 数と式・方程式と不等式 | |
2次関数 | ||
図形と計量 | ||
データの分析 | ||
数学A | 場合の数と確率 | |
条件付き確率 | ||
図形の性質 | ||
約数と倍数 | ○ | |
不定方程式の整数解 | ||
数学Ⅱ | 二項定理・割り算・分数式 | |
恒等式・式と証明 | ||
複素数と2次方程式 | ||
剰余定理・高次方程式 | ||
点と直線・円の方程式 | ||
軌跡・領域 | ○ | |
三角関数 | ||
指数関数・対数関数 | ||
微分法と積分法 | ○ | |
数学B | ベクトルの計算 | |
ベクトルと平面図形 | ||
ベクトルと空間図形 | ○ | |
いろいろな数列 | ○ | |
漸化式 | ||
確率と漸化式の融合問題 | ○ | |
数学的帰納法 | ||
確率分布と統計的な推測 | ||
数学Ⅲ | 複素数平面 | ○ |
式と曲線 | ||
関数・極限 | ||
微分法とその応用 | ||
積分計算 | ||
面積・体積・曲線の長さ | ○ | |
微分法・積分法の融合問題 | ||
旧数学C | 行列 |
傾向
医学部入試は2017年度より開始されたので、現在1年度分しかデータがないが、大問数は4である。大問1は小問集合で、大問2~4はセンター試験のような誘導形式の大問という、中堅~上位レベルの私立大の医学部の入試でよく見られる形式である。出題した大学側も、恐らくそのあたりは十分に意識していると思われる。解答時間も、80分と受験生にとってちょうど良い長さである。2018年度以降、難易度や計算量が上がる可能性も考えられると同時に、受験生の動向にも要注目である。
2017年度の大問1は3題からなる小問集合で、各小問とも答えるべき箇所が複数あった。(1)はn進法の問題だが、単に3進法から10進法に変換するだけでなく、3進法で表された場合の桁数に関する条件から不等式を立てる問題が後半にあった。(2)はいわゆる領域と最大・最小に関する問題であるが、ax+y=kが表す直線の傾きで場合分けを行い、正しく空所を埋めていく(数値をマークしていく)必要がある。(3)はド・モアブルの定理を利用して、複素数からなる数列の虚部のみの和を求める問題であった。
2017年度の大問2は、確率の最大・最小および確率と漸化式との融合問題であった。前半・後半とも私立大の医学部の入試では定番ともいえる出題であったので、対策が出来ている受験生とそうでない受験生とで差がついたと思われる。大問3は空間ベクトルと図形に関する問題で、切断された立体の体積に関する問題であった。最後の体積は、直前の結果を利用しても解けないことはないが、恐らく医学部志望者にはお馴染みであろう線分比と面積比・体積比から求めた方が恐らく平易。大問4は、前半の誘導に乗って積分計算を行い、後半ではそれを用いて体積を求める問題で、難易度は標準的であった。問題文の意味・意図を正しく捉え、誘導に乗ってミスなく計算できれば、多くの受験生は最後まで辿り着けただろう。このように、出題の内容・され方によって臨機応変に解法を選ぶことが出来たかどうかでも、差がついたが問われる。
全体を通じて、小問・大問とも、標準典型題をベースに「ひと手間」を加えさせるような問題が並んでおり、用いる各々の基本事項をしっかり理解していないと取り組みづらく、かつ答えづらくなっている。2017年度に出題された分野はもちろん、そうでない分野に関しても、同レベルかそれ以上の問題が出題されることを想定し、しっかりと対策しておきたい。
対策
教科書の基本事項を完璧に理解したうえで、中堅~上位レベルの私立大の医学部でよく出題される標準典型題の解法を、幅広くマスターしておくことが求められる。2017年度の問題を見る限り、解答スピードはそれほど求められていないようだが、出題範囲のどこからどのように出題されても、慌てず淡々と対応・処理できるようにはしておきたい。
ありきたりな話になるが、小問集合の対策は、入試を意識した学習の第1歩としてちょうど良い。特に数学Ⅰ・A・Ⅱ・B分野において、教科書学習時から、学んだ範囲の知識で解ける入試問題に都度つど挑戦し、力試しを行って欲しい。その他、是非とも活用して欲しいのが、過去に受けた模試の問題などである。代表的な模試では、特に大問の中盤~終盤にかけて標準典型題をベースに「ひと手間」加えさせる問題が並ぶので、もう一度解き直し、今度は最後まで解ききってみて、一枚上の力を持つ者とそうでない者を分けるのがどういう問題なのかを肌で感じると同時に、今なら最後まで解ききれるようになっているか、自問自答すること。
数学Ⅲを学習する段階に入ったら、それと並行して既習範囲の抜けている知識を補っていこう。特に、数学Ⅱの三角関数や指数・対数関数の性質などは、数学Ⅲの極限や微積分を学習する際に大前提となるから、関連づけて覚えると忘れにくい。教科書学習を終えたら、計算練習用の問題集(具体的には「カルキュール[基礎力・計算力アップ問題集]」数学Ⅲ(駿台文庫)など)を何か1冊仕上げ、ついで中堅~上級レベルの私立大の医学部の入試問題を多く収録した問題集で演習量を増やしていこう。過去問は2017年現在1年分しかないので、他大学で数学Ⅲの微・積分法をマーク式の大問で出題するところの過去問なども活用し、誘導形式の大問の流れにも慣れたい。
数学が得意な人は、どうしても手が出ない問題以外は完答し、8~9割を確保したい。2017年度(3)のような問題に取り組む際は、最初に思いついた解法で行けるところまで行ってみて、時間が余ったら他の角度からも考え直してみると検算もでき、良い意味で頭が「リセット」され、良い結果につながるはず。
数学が苦手な人は、とりあえず6割を目標にしたい。小問集合と、得意分野の大問1題を完答し、残りの大問は序盤だけでも得点して部分点を上乗せするイメージで臨むように。ただ、小問集合といっても、他大学のようなまったくの教科書レベルの問題は少ないので、入試基礎レベルまでの標準典型題は網羅し、苦手分野をなくしておこう。