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愛知医科大学 小論文 過去問解析

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過去三年間の出題内容

2018年 1日目
11種類のイラストとイラストに添えられた短い英文について最も共感できないものを一つ選びその理由を600字以内で述べる。また、イラストにタイトルをつける。
2日目
ある大学生が買った壺から現れた壺の精は「何でも願いを一つかなえてあげる」と言うが、その学生が100万円を欲しいと願うと盗んで持ってきたり、永遠の寿命が欲しいと願うと他の人の寿命を奪ってきたりするというやり方で願いをかなえる。この学生はどんな願いを願うのか、600字以内でストーリーを創作する。
2017年 1日目
インターネットサイトで見つけた、「精神科医を目指しているが死に対する恐怖が強く、医学部に進むこと、医師になってからのことを考えて不安に襲われる。どうすれば恐怖心を軽減できるか」という相談にどのように答えるか、600字以内で述べる。
2日目
「自分が本当の気持ちを言わない子供だった」という内容のAの文章に続けて理由を述べ、「だから私は今でも本当の気持ちをほとんど言わない」という内容のBの文章につながるように、自分を物語の主人公にして、600字以内で創作する。
2016年 1日目
判じ絵をみて、1)絵は何を示したものかを推測して、100字以内で書く。2)絵に書かれた2つの素材を用いて、「人を愛するとはどういうことか」を500字以内で書く。
2日目
「戦争と平和」というテーマで、自分の考えを600字以内で書く。

分析

テーマ型と資料型の小論文が出題されている。2018年の1日目は11種類のイラストとそれぞれのイラストの下にある英文を読み、もっとも共感できないものを一つ選んでその理由を述べ、そのイラストにタイトルをつけるというものが出題された。2日目はある大学生が出会った壺の精は何でも願いをかなえると言うが、そのかなえ方が道徳的に問題のあるやり方であった場合、その学生はどのような願いをするかというものであった。また、2017年の1日目はやや長めのテーマで、医師になれるのか、医師としてやっていけるのかという不安を抱いている相談者に答えるもの、2日目は子供のときに本当の気持ちを言わない子供だった理由と現在もそのようにしている理由について答えるというものが出題された。相談者への回答作成は、相手への共感や相手を理解しようとする意識がなければ難しい。これは、患者のこれまでの人生や考え方、境遇等を理解したうえで治療を行うナラティブ・ベイスト・メディスンの提供につながるものである。2016年の1日目は江戸時代に流行した絵から推理して隠されている意味を当てる「判じ絵」が出題され、2日目は「戦争と平和」について考えを述べるというものが出題された。「判じ絵」とは、江戸時代に流行したもので、ある言葉を絵で表した浮世絵である。この答えがわかった受験生はほとんどいないだろうが、それは問題ではない。この問題では、固定観念などをなくし、与えられた情報を多面的に考えて推理する力が求められている。

これらの問題は、医師が病気を診断する際に必要となる発想力、推理力、分析力、鋭い観察力、大局的に物事を捉える力、課題発見力、患者とのコミュニケーションをとる際に必要となる共感力などを多角的に見る問題になっていると言えよう。

愛知医科大学の問題は、奇をてらったもののように見え、戸惑う受験生は多いだろう。しかし、ここで見られているのは何か特別な発想力やずば抜けた知識などではない。出された問題を冷静に読み解く力、これまでの知識や経験をもとに考える力があれば対応できるものである。たとえば、2018年の1日目の問題では、11個のイラストの中の一つに、右半分が悪魔、左半分が天使のイラストがあり、下には「confuse not being bad with being good」とあった。人間の行為を善悪二元論で見ることや、人間の二面性などに着目できれば決して難しいものではないだろう。

対策

資料型・テーマ型ともに課題設定が重要となるので、日頃から発想力や思考力を鍛えておく必要がある。そのためには、社会や様々な事象に対して関心を持ち、新聞やニュース、本などを読んでおくとよい。新聞やニュースから、今自分が生活している社会で生じている問題は何か、どのようなことが話題となっているかを知り、それらの問題や話題が自分とどう関係しているのか、自分にどのような影響を及ぼすのかについて考えるようにする。当事者意識を持ってニュースを読むようにしよう。また、随筆なども読んで多様な価値観に触れるのもよいだろう。

条件をしっかり押さえたうえで、根拠を明確にして自分の考えをまとめる練習は不可欠である。社会問題や医療問題はもちろん、日頃の読書や会話において、自分がなぜそのように考えるのか、他人はなぜそのように考えるのか、自分と他者との考えの違いはどこから生じているのかなどを意識し、分析する習慣をつけておくとよい。

また、愛知医科大学は、求める学生像を「医学への強い志向と学習意欲を持つ人・医学を学ぶために必要な基礎学力と問題解決能力を備えた人・人間性と教養が豊かで、倫理的価値判断に優れた人・協調性を持ちコミュニケーション能力に富んだ人・誠実で常に努力を怠らない人」としてアドミッション・ポリシーに明示している。小論文では特に、「医学を学ぶために必要な基礎学力と問題解決能力を備えた人・人間性と教養が豊かで、倫理的価値判断に優れた人・協調性を持ちコミュニケーション能力に富んだ人」であるかどうかを見ていると思われる。これらの点を念頭に置いて自分自身を振り返り、自分に足りないものはなにか、どうしたら足りない部分を補えるかを意識して考えることも必要となるだろう。そうした生き方・考え方・態度はおのずと文章に表れる。漫然と生きているならその程度の文章しか書くことはできないということを覚えておこう。

順天堂大学や慶應義塾大学の過去問で2016年・2018年の1日目のような形式の対策をするとよい。また、2016年・2018年の2日目や2017年のようなテーマ型の問題では、昭和大学や関西医科大学、杏林大学などの過去問で対策をしてみよう。

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