東京慈恵会医科大学 化学 過去問解析
分析表
2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | ||
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理論化学 | 物質の分離と精製 | ○ | ||||
化学結合と物質の性質 | ○ | |||||
結晶構造 | ○ | |||||
物質の三態 | ||||||
化学反応式と量的関係 | ○ | |||||
酸と塩基の反応 | ||||||
酸化還元反応 | ○ | |||||
電池・電気分解 | ○ | ○ | ||||
熱化学 | ○ | ○ | ||||
気体の溶解度 | ||||||
固体の溶解度 | ○ | |||||
気体の法則 | ||||||
希薄溶液の性質 | ○ | |||||
コロイド溶液 | ||||||
反応速度と化学平衡 | ○ | ○ | ○ | |||
塩の加水分解、緩衝溶液 | ○ | |||||
溶解度積 | ○ | |||||
無機化学 | 原子の構造と元素の周期表 | ○ | ||||
非金属元素 | ○ | |||||
金属元素 | ○ | ○ | ||||
陽イオン・陰イオンの系統分析 | ||||||
有機化学 | 脂肪族 | ○ | ○ | ○ | ||
芳香族 | ○ | ○ | ||||
油脂 | ○ | |||||
糖 | ○ | ○ | ||||
ゴム | ||||||
合成高分子化合物 | ||||||
アミノ酸とタンパク質 | ||||||
構造決定問題 | ○ | ○ | ○ | |||
DNA、RNA、ATP、医薬品 | ||||||
有機化合物の系統分離 |
分析
例年、大問4問で構成される。どの問題も難易度が高く、受験生が見慣れない物質、反応が題材となっている問題や、深い知識を要求される問題が出題されることが多い。また、有機化合物や無機化合物などを題材として、そこに理論化学が絡んでくる総合問題の形式が多い。2017年度は第1問酸化インジウムと酸化スズを原料とする透明導電性材料の問題、第2問亜鉛の精製と生体中での亜鉛の働きに関する問題、第3問アルデヒドと水付加による環状エーテルの生成の問題、第4問芳香族化合物の構造決定の問題であった。
第3問は、ジオールの生成反応、2か所のヒドロキシ基とメタノールの脱水縮合反応の反応式が与えられ、それを用いてアセトアルデヒドと水による環状エーテルを合成する反応の問題である。このような多段階の反応式を与えて考えさせる問題は、2016年度第1問、第3問、2015年度第1問、第3問でも出題されている。
対策
標準的な問題が解けるだけでは不十分である。入試で頻出のテーマについて深く掘り下げておくことである。わかりやすい例として2015年度4の問題を取り上げてみよう。この問題ではセルロースとデンプンの構造が詳しく書かれており、ヨウ素デンプン反応においてなぜヨウ素分子がアミロースのらせん構造内に取り込まれるかについて書かれている。ヨウ素分子がアミロースに包接されることは知っていても、その理由について考えたことのある人は少ないだろう。
理論化学で覚えた公式はどのように導出されたのか、あるいはどのような実験の結果なのか。無機化学や有機化学で暗記した反応のメカニズムは何か。といったことを調べたり考えたりしていくことで、ある反応を構成する素反応について考えたり、未知の反応式や物質について考えられる実力が培われる。