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山添の英語学習法
第2回 英語力補完計画~私大医学部編②~その1

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こんにちは!山添です。

前回は、語彙の話を中心に解説しましたが、今回は〈[2] Structure(文構造解析力):文法的に正しく文構造を分析する力〉についてお話ししたいと思います。

はじめに、ぼく自身の、とても個人的なお話から。

恥ずかしながら、ぼくは高校生の頃、英語だけでなく全ての勉強を投げ出していました。中学生の頃はまじめに勉強していましたが、高校に入った途端に燃え尽きてしまい(苦笑)、遊び呆けてばかりいたんですね。で、その結果、当然ながら浪人しました。

某大手予備校の本校に通うことになり、難関私大コースの選抜試験を受けたら、なぜか8クラス中、上から3番目のクラスに入ることになりました。ぼくは幼いころから体が弱く(…という話を授業中にすると、ぼくを見てたいていの人が「え~、嘘だぁ!」という顔をしますが、小児喘息を患っていたのです)、外で活発に遊ぶよりも一人で黙々と本を読んで過ごすことが多かったためかもしれませんが、現代文だけはそこそこできたので、いわば「分不相応」なクラスに入ってしまったわけです。

当時は浪人生が最も多い時代で、高校を卒業した生徒の3人に1人が浪人していました。ですから予備校では1クラスの人数も300人ぐらいいて「授業」というよりは「講演」を聴いている感じでした(この話を今の生徒さんにすると爆笑されるのですが、当時は大教室で後の方に座ると、講師によっては板書の字が小さくて見づらかったので、双眼鏡を持って授業を受けることもあったくらいなのです)。高校の頃とは違って予備校の授業はまじめに出席しましたが、高校3年間勉強をさぼり続けたツケはあまりにも大きく、特に英語の授業は「カテイホウカコカンリョウ」とか「ブンシコーブン」なんてまるで謎の呪文を聴いているようでした。

浪人したての頃、英語の偏差値は42~43ぐらいでした。1学期が終わり、夏休みに入りましたが、当時の自分に欠けていたもの、つまり「基礎力」を養わねばならないのに、どうしてよいのやらわからず、結局、夏は無為に過ぎていきました。

9月になり、英語の偏差値は45~50ほどにとどまっていました。夏までに身に着けるべき「基礎力」がなかったのですから、当然の結果です。それまでは単語を辞書で調べて「なんとなく」読んでいただけで、文法的なことなどきちんと考えていませんでした。そう、フィーリングで何とかなるだろう、などと高をくくっていたんですね。そして、そんなでたらめな方法で力がつくはずもないということは、先に書いた通り成績が証明していました。

そこで、あることを自らに課すことに決めました。それは「英文をごまかさずに読むこと」です。この、とてもシンプルだけれど、大切なことを徹底すること。それこそが自分に最も必要なことだと(愚かにも遅まきながら)ようやく気付いたのです。

それから毎日、テキストや問題集の英文を使い、次のような作業を自らに課しました。

①全てのセンテンス(ピリオドまでの1文)の主語(S)・述語動詞(V)を明らかにする。
 ⇒「5つの文型」を思い出せばすぐにわかりますが、原則として全ての英文には必ずVが存在します。だとすれば、SとVを正確に把握することこそ構文把握の第一歩であると同時に、文法的に正しく読むための「要」となります。また、本来はシンプルなはずの英文(何しろ、ほとんどどんなセンテンスもつきつめればたった5つの文型に分類できるのですから!)を複雑にしている「犯人」を見抜き、邪魔な飾りを取っ払って本来のシンプルな姿(骨組み)を把握することも必要です。なお、「述語動詞」とは、一人前扱いできる動詞のことで、以下の4つがそれにあたります。
  1. a. 動詞の現在形: I usually get up at six o’clock.
  2. b. 動詞の過去形: Asuka fought against Arael.
  3. c. 助動詞 + 動詞: You can make it!!
  4. d. 命令文の原形: Do it at once.

※述語動詞が2つ以上ある場合、原則として必ず「連節語句(つなぎ言葉)」が必要です。連節語句になるのは、〈接続詞〉〈関係詞〉〈疑問詞〉の3つです。

※〈to + 原形〉〈-ing〉〈過去分詞〉は「準動詞」と呼ばれ、単独では一人前の動詞扱いできず、他の品詞(名詞・形容詞・副詞)として働きます。

②等位接続詞のand / or / butがあったら何と何を結んでいるのかを明らかにする。
 ⇒文を複雑にする「犯人」の一人ですね。「等位」ということばの通り、原則として対等な関係にあるものを結んでいます。
③従属節があったら「どこからどこまでなのか」を[ ]で囲む。
 ⇒これも、文を複雑にする「犯人」の一人です。文の中に文が埋め込まれていて、それがどこからどこまでの範囲なのかを正確に把握する必要があります。
④指示語があったら、何を指しているのかを自分の言葉で説明できるようにする。
 ⇒文と文のつながりを考えるために必要なことです。

ここに書いたことはいずれも当たり前のことなのですが、そんなことにすら気が付かなかったほど当時の自分は愚かであり、かつ、当時、ぼくが通っていた予備校のクラスでもそこまで基本的なことは詳しく教えていなかったのです(クラスのレベルを考えれば、こんなことぐらい当然できるだろう、と思われていたのかもしれませんが…)。

もちろん、こうして「ごまかさずに読む」ためには時間も労力もかかります。和訳を参照しながら「なぜこんな役になるのだろうか」と考え、知らない単語については辞書を引き、300語程度の短い英文を読むのに2時間も3時間もかかってしまったこともありました。

しかし、こうした地道な訓練の継続こそが、本当に役に立つのだと実感できたのは11月の模試の結果が返ってきた時でした。9月の時点で最高でも50程度だった偏差値が、70にまで上がったのです。2ヶ月で20の上昇。これは自分でも驚きました。そして、この時の経験が、その後、大学や大学院に入ってから英文を読むときに、また、今の仕事をするようになってからも、大きな「礎」になっているのです。

ただし、この話には「裏」があります。あ、もちろん、不正をしたわけではありませんよ(笑)。それは、先に述べたように、ぼくが「現代文はそこそこ得意であったこと」と関係があります。現代文が得意である、ということは、たとえば抽象的な英文を読んだとき、そこに書かれている内容を具体化して考えることができる力があったり、文と文のつながりを理解する力がある、ということです。

前回、英文読解力とは以下の三つの力の総合力のことを示す、とお話ししました。

  1. Vocabulary(語彙力):単語や熟語の知識
  2. Structure(文構造解析力):文法的に正しく文構造を分析する力
  3. Comprehension(内容理解力):背景知識を含み、英文の内容を正しく理解する力

上に挙げた2か月間の訓練は、このうちの[2]を徹底的に鍛えることに相当します。しかしながら、それだけでは英文を読めるようにはなりません(もちろん、[1]の語彙力が必要であることは言うまでもありません)。[3]については次回以降に詳しくお話ししますが、英文を読み、つながりを理解し、適切な訳語をつけるためには、[3]の内容理解力が欠かせないのです。英語の勉強というと、どうしても[1]や[2]にばかり目が向いてしまいがちですが、[3]の力を鍛えることをおろそかにしていては、成績は上がりません。そのことを念頭に置いて勉強してください。

そして、もう一つ大切なことがあります。それは「中学英語で学んだ事項は完璧にしておく」ということです。大学入試なのに中学英語?と思うかもしれませんが、英語が苦手な人の場合、かなりの割合で、中学校でつまずいたところをそのままにしている人が見受けられるのです。建築にたとえれば、土台を作るための基礎工事ができていないのに、建物を建てるようなものです。英語の勉強について、中学校でつまずいたという人は、早急につまずいた箇所に立ち返ってそこを完ぺきにしてください。もちろん、その勉強にはあまり時間をかけることはできません。薄いもので構いませんから、中学英語の問題集を買い、1週間程度でつまずいた箇所を重点的に学習し、穴を無くしてください。

「基礎」という言葉を「易しいこと」と勘違いしている人があまりにも多いのですが、「基礎=易しい」ということはありません。むしろ「基礎」ほど難しいものはないのです。また建築にたとえてしまいますが、家を建てる場合、最も時間や手間がかかるのが土台作りなのです。いったん基礎工事ができれば、上物は比較的短期間で建てることができます。英語の学習もこれと同じです。中学英語から高校英語にかけての文法項目は完璧にマスターしておかねばなりません。特に「品詞」を意識して読み解くことが第一歩となります。

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