理論化学
化学講座 第32回:熱化学方程式②【化学反応と熱の出入り】
では、C(黒鉛)を不完全燃焼させてCO(気)にしたのち、さらに燃焼させてCO2(気)にすると、発生する熱量の総和はどうなるでしょうか。
C(黒鉛)をCO2(気)にするという意味で、エネルギーの差は変わりませんから、放出されるエネルギーの総和はC(黒鉛)を燃焼させてCO2(気)にしたときと同じになります。つまり熱量の総和は、C(黒鉛)の燃焼熱と同じです。
実際に、CO(気)の生成熱は111KJ/mol、CO(気)の燃焼熱は283KJ/molです。この2つの和をとると394KJになりますから、確かにCO2(気)の燃焼熱と同じになりますね。これをエネルギー図にすると、下図のようになります。
このように、反応の最初と最後の状態が同じであれば、反応の経路によらず、生じる熱量の総和が同じであるという法則をヘスの法則と言い、熱化学方程式を解くうえで非常に大事な法則になります。
一種のエネルギー保存則ですから、物理をやっている人には当たり前に思える事かも知れませんね。
今回はこれでおわりです。次回は、このヘスの法則を用いた熱化学方程式の解き方を説明します。