理論化学
化学講座 第20回:酸化還元②「酸化数」
酸化数の決め方のルール
前ページのように、電子式を描けば分子中の元素の酸化数を考える事ができますし、酢酸のように書かないとわからないものもありますが、酸化数を求めよという問題に対していちいち電子式を描くのは面倒です。
実は、酸化数が簡単に分かるルールがあるのです。このルールに従えば、十問中、九問は解答可能です。
- ルールその(1)
- 酸化数の総和は次のようになる。
- 分子・・各元素の酸化数の総和=0
- 多原子イオン・・各原子の酸化数の総和=イオンの価数
- ルールその(2)
- 化合物中の元素の中には、酸化数が常に一定値になるものが存在する。
- 単体・・全ての原子の酸化数=0
- アルカリ金属・・常に+1
- アルカリ土類金属・・常に+2
- 酸素・・原則-2 (例外としてH2O2の時は-1)
- 水素・・相手が非金属のときは+1
- ハロゲン・・相手が金属のときは-1 (Fは常にー1)
酸化数を求めなさいという問題があったら、このルールに従って酸化数を決めれるものを決めていきます。すると、わからないものがたいてい1つだけ混ざっているので、その原子の酸化数をχと置いて。χについての方程式を立てれば問題を解くことができます。
例として、1)~4)の物質の各原子の酸化数を求めてみましょう。
1)CaCl2
Caはアルカリ土類金属ですから、+2
Clは相手が金属ですから、-1
2)H2SO4
Hは相手が非金属なので、+1
OはH2O2以外の場合ですから-2
Sはルールにありませんから、χとおきます。
3)MnO4-
Mnはルールにありませんから、χと置きます。
Oは、H2O2以外の場合ですから-2
4)H2
H2は単体なので、Hの酸化数は0
ルールを使うと簡単に酸化数がもとまりますね。もっとも、このルールはいつも使えるわけではなく、簡単な構造の分子やイオンにしか用いる事ができません。例えば、CH3COOHのように複雑な構造(含まれている二つのCの酸化数が異なる)を持つ物質には使う事ができません。
そういう物質は、前のページで書いたように、電子式を書くしかないんですよね。
それでは、今回はこれでおしまいです。では、また。